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便秘と食べ物の関係

食事が与える腸内環境への影響

便秘は多くの人が経験する消化器のトラブルの一つであり、生活の質を低下させることがあります。便秘の原因にはさまざまな要因がありますが、特に食事が腸内の健康に大きな影響を与えることはよく知られています。

便秘とは

便秘のメカニズムと原因

便秘とは、本来排泄すべき糞便が大腸内を滞ることによる便の状態の変化や便回数の減少、糞便は快適に排泄できないことによる怒責・残便感・直腸肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態と定義される状態と定義されます。便秘は、腸の運動が低下したり、便が腸内で長時間滞留することによって発生します。腸内の運動(蠕動運動)は、消化物を腸内で適切に移動させる役割を果たしますが、この運動が低下すると、便が腸内に長時間とどまり、水分が吸収されて硬くなり、排便が難しくなります。便秘の原因には、食物繊維不足や水分不足、運動不足、ストレスなどが挙げられます。

食物繊維と便秘の関係

便秘予防には、食物繊維の摂取が非常に重要です。食物繊維は腸内で水分を吸収し、便を柔らかく保つ働きがあります。また、食物繊維が腸内の善玉菌の餌となり、腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスを整える役割を果たします。これにより、腸内の蠕動運動が促進され、便通が改善されることが知られています。

食物繊維の種類

食物繊維の種類 食物繊維は、大きく分けて水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分かれます。

  1. 水溶性食物繊維:腸内で水分を吸収してゲル状に変化し、便を柔らかくする働きがあります。これにより便秘が改善されます。水溶性食物繊維は、オートミール、果物、野菜、海藻に多く含まれています。
  2. 不溶性食物繊維:腸内で膨張して便の量を増やし、腸の蠕動運動を刺激します。これにより便通が促進されます。不溶性食物繊維は、全粒穀物、豆類、野菜の皮に豊富に含まれています。

便秘予防に効果的な食べ物

便秘予防には、腸内環境を改善する・便秘を防ぐ効果がある食べ物や飲み物を摂取することが重要です。

食物繊維が豊富な食べ物

果物:バナナ、リンゴ、キウイなどは食物繊維が豊富で、便通を促進します。特にキウイは、便秘解消に効果的な成分を含んでいます。
野菜:ほうれん草やブロッコリー、キャベツ、にんじんなど、色々な野菜に食物繊維が含まれています。
豆類:納豆や大豆製品、レンズ豆などは、食物繊維とともに腸内フローラを整える役割も果たします。
全粒穀物:白米よりも玄米やオートミールの方が食物繊維が豊富で、便秘解消に効果があります。

発酵食品と腸内フローラの改善

発酵食品(例えば、ヨーグルトや納豆、キムチ)は腸内フローラのバランスを整えるため、便秘予防に効果的です。これらの食品にはプロバイオティクス(善玉菌)が含まれており、腸内で有益な細菌の増殖を助け、腸内の健康をサポートします。プロバイオティクスは腸内の蠕動運動を促進し、便秘を改善する可能性があります。

水分補給

便秘の予防には十分な水分補給が欠かせません。水分が不足すると、便は硬くなり、排便が困難になります。1日に十分な水分を摂取することが、便を柔らかく保ち、スムーズな排便を促します。特に朝起きたときにコップ一杯の水を飲むことが効果的です。

便秘を引き起こしやすい食べ物

便秘を悪化させる食べ物を避けることで、便秘の予防につながります。

高脂肪食品

脂肪分が多い食事は、腸内での動きを鈍くし、便通を遅らせることがあります。特に揚げ物やファーストフード、過剰な脂肪分を含む食べ物は腸内での消化を遅くし、便秘を引き起こす原因となります。

精製された炭水化物

白パンや白米、砂糖を多く含む食品は食物繊維が少ないため、腸内の運動を促進することが難しいと言われています。また精製された炭水化物は、便秘を悪化させる可能性があるため、全粒穀物や未加工の食材を選ぶことが推奨されます。

加工食品や人工甘味料

加工食品や人工甘味料は腸内の善玉菌に悪影響を与えることがあり、便秘を引き起こす原因となることがあります。特に人工甘味料(アスパルテームやソルビトールなど)は腸内フローラを乱すことがあるため、避けるべきと言われています。

便秘改善のための生活習慣

便秘改善のための生活習慣食事だけでなく、生活習慣も便秘改善にとても重要です。下記のような習慣を取り入れることで、便秘予防を心がけましょう。

定期的な運動

運動は腸の動きを促進し、便秘を予防する効果があります。ウォーキングやジョギング、ヨガなどの軽い運動を日常的に行うことで、腸内の蠕動運動が活発になり、便通が改善されます。

ストレス管理

ストレスが溜まると、自律神経が乱れ、腸の運動が低下することがあります。リラックスする時間を作り、ストレスをうまく管理することが便秘解消には重要です。また、深呼吸や瞑想などのリラクゼーション法が有効と言われています。

規則正しい生活

食事や排便のリズムを規則正しく保つことが、便秘予防には効果的となります。毎日同じ時間に食事を取り、毎日同じ時間にトイレに行く習慣をつけることを心がけましょう。

便秘の改善に向けた食事

便秘解消には、食事に一工夫加えることも効果的です。食物繊維を意識的に摂取し、腸内環境を整える食べ物を取り入れましょう。また、運動や規則正しい生活習慣を維持することが、便秘改善に大きな役割を果たします。さらに、便秘を改善するためには、食事の内容を見直すことが非常に大切です。食物繊維が豊富な食べ物を摂取し、発酵食品を取り入れることで腸内環境を整えることを意識しましょう。

便秘でお困りの方へ

便秘は日常的な問題として軽視されがちですが、放置すると生活の質を低下させるだけでなく、健康全般に悪影響を及ぼす可能性があります。当院では、日本消化器内視鏡学会専門医の院長が皆様に適切な便秘の治療を提案いたします。些細な症状でも放置することなく、お気軽にご相談ください。

便秘でお困りの方へ(診察予約)

この記事の監修者

この記事の監修者ホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。宇賀治 良平(うがじ りょうへい)と申します。病気でつらい思いをする人をできる限り減らしたい信念から、研鑽を積んだ消化器内視鏡の分野で開院することとしました。
私の祖母は、私が研修医の時に消化器がんで亡くなりました。一度受けた内視鏡検査が辛く、以後は検査を受けなかったため、最期は進行したがんで発見されました。早く見つかれば何かしら力になれたかと思うと、悔しい気持ちが忘れられません。
消化器内視鏡検査はお世辞にも楽な検査ではありません。「つらくない」「見逃さない」二つの目標にどこまで近づけるのかを挑戦し続けていく所存です。医師になってから、真剣に内視鏡検査と向き合って参りました。一人でも多くの患者さんに少しでもつらくないような内視鏡検査を受けていただきたいと思っています。また、当院では栄養の分野からも皆さんの健康維持のお手伝いをしたいと考えています。開院時から3名の管理栄養士を迎え、体の中から健康を支える栄養管理をご提案したいと考えています。
「おなかの中からふくいを元気にする。」のテーマを掲げて、診療にあたっていきます。
当クリニックの診療が福井の皆さんのお力になれば幸いです。

院長 宇賀治 良平