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0.はじめに

 

おはようございます。ふくい内視鏡・胃腸クリニック 宇賀治良平です。

9月も中旬に近づいてきましたが、日中はまだ暑さを感じる日がありますね。

朝の散歩も少し肌寒くなってきましたが・・お身体には皆様十分にお気をつけください!

 

さて、40歳を過ぎると、健康診断や市町村からの案内で「大腸がん検診」という言葉を目にする機会が増えてきます。

そこで、こんな疑問を持ったことはありませんか?

  • なぜ大腸がん検診は40歳からなの?
  • 40代でも大腸がんになるの?
  • 症状がなければまだ大丈夫?
  • 40歳になったら大腸カメラを受けた方がいい?

国立がん研究センターによると、大腸がんにかかる人は40歳代から増えてきます。

そのため、日本では男女とも40歳以上を対象に、1年に1回の大腸がん検診が勧められています。

ただし、40歳になったその日から突然、大腸の病気が増えるわけではありません。

40代は、「まだ若いから大丈夫」と考える時期から、自分の大腸の健康にも少し目を向け始める時期と考えていただくとよいと思います。

今回は、なぜ40代が大腸の健康を考えるひとつの節目なのかをお話しします。

 

1.なぜ大腸がん検診は40歳から?

 

 

日本で推奨されている大腸がん検診は、男女とも40歳以上が対象です。

基本となる検査は、便の中に目では見えない程度の血液が混じっていないかを調べる「便潜血検査」です。

大腸がんは、年齢とともにかかる人が増えてくる病気です。

国立がん研究センターでも、大腸がんにかかる人は40歳代から増加すると説明されています。

つまり40歳は、

「症状が出てから調べる」だけではなく、「症状がないうちから定期的に確認する」ことを始めるひとつの節目

なのです。

 

2.40歳になった瞬間にリスクが高くなるわけではありません

 

 

ここは誤解がないようにお伝えをしたいと思います。

39歳までは大丈夫で、40歳になった瞬間に急に大腸がんのリスクが高くなる、という意味ではありません。

病気のリスクは、年齢とともに少しずつ変化していきます。

その中で、大腸がんは40歳代から徐々に増えてくるため、集団として検診を始める年齢が40歳に設定されています。

ですから、大切なのは「40」という数字だけにとらわれることではありません。

30代であっても症状や家族歴などによって検査を考えることがありますし、40代になっても全員がすぐに大腸カメラを受けなければならないということでもありません。

 

3.40代でも大腸ポリープや大腸がんは見つかります

 

 

「大腸ポリープや大腸がんは、60代や70代の病気ですよね?」

と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、大腸がんは高齢になるほど多くなる病気です。

しかし、40代で大腸ポリープや大腸がんが見つかることもあります。

大腸ポリープにはさまざまな種類がありますが、その中には将来的に大腸がんへ進展する可能性があるものもあります。

だからといって、「40代になったらポリープがある」と考える必要はありません。

大切なのは、自分には関係のない病気だと思い込まないことです。

 

4.大腸がんは症状がない時期があります

 

大腸がんについて知っておいていただきたい特徴のひとつが、早い段階では自覚症状がないことが少なくない、という点です。

「お腹は痛くない」

「毎日普通に便が出ている」

「体調もいい」

ということだけでは、大腸の中に病変がないとは言い切れません。

だからこそ、大腸がん検診は「症状がある人のための検査」ではなく、基本的には症状がない方が定期的に受けるものです。

元気なときから自分の体を確認しておくことが、早期発見につながることがあります。

 

5.40代になったら、まず年1回の便潜血検査を

 

 

では、40歳になったら何をすればよいのでしょうか。

国が推奨する大腸がん検診では、40歳以上の方に1年に1回、便潜血検査を受けることが勧められています。

便潜血検査は、大腸からの微量な出血が便に混じっていないかを確認する検査です。

ここで大切なのは、

「40歳になったら全員が大腸カメラ」ではなく、まず適切ながん検診を継続して受けること

です。

そして、便潜血検査で「要精密検査」となった場合には、精密検査について医療機関へ相談してください。

便潜血検査は一度受ければ終わりではありません。陰性であっても、対象となる年齢では定期的に受けていくことが大切です。

 

6.症状がある場合は「次の検診」を待たないでください

 

 

一方で、検診とは別に考えた方がよい場合があります。

例えば、

  • 血便がある
  • 便に血液が付くことを繰り返す
  • 便秘や下痢など、以前と便通が変わった
  • 便が細くなった状態が続いている
  • 腹痛が続いている
  • 原因のはっきりしない貧血を指摘された
  • 意図しない体重減少がある

といった場合です。

こうした症状がある場合には、次の大腸がん検診まで待つのではなく、医療機関へご相談ください。

もちろん、これらの症状があるからといって大腸がんというわけではありません。

痔、便秘、腸の炎症など、さまざまな原因があります。

症状がある場合は、「検診を受ける」のではなく、「症状の原因を診てもらう」という考え方が大切です。

 

7.家族歴や過去のポリープがある方は、年齢だけでは決まりません

 

 

検査について考える際には、年齢以外の情報も大切です。

例えば、

  • 家族に大腸がんになった方がいる
  • 以前の大腸カメラでポリープが見つかった
  • 過去に大腸ポリープを切除した
  • 便潜血検査で陽性になったことがある
  • 大腸の病気で治療を受けたことがある

といった場合には、ご自身の状況に合わせて考える必要があります。

特に家族歴では、「誰が」「何歳で」大腸がんになったのかといった情報も判断材料になります。

「40歳だから」「まだ40歳だから」という年齢だけで決めず、これまでの検査結果や家族歴も含めて考えていきましょう。

 

8.40代から始めたい「自分の大腸を知る」という習慣

 

 

40代は、仕事や子育てなどで忙しい方が多い年代です。

体調が多少気になっても、

「まだ若いし」「仕事が落ち着いてから」

と後回しにしてしまうこともあるかもしれません。

しかし、40代から始めていただきたいのは、必要以上に病気を怖がることではありません。

 

毎年の検診結果を見ること、便の変化に気づくこと、家族歴や過去の検査結果を知っておくこと。

こうした小さな習慣が、ご自身の健康を守ることにつながります。

そして、気になることがあったときには、必要な検査について消化器内科へ相談してください。

「大腸カメラを受けると決めてから受診する」のではなく、まず相談するところからでも大丈夫です。

 

よくある質問 Q&A

Q1.40歳になったら必ず大腸カメラを受けるべきですか?

全員が40歳になった時点で大腸カメラを受けなければならない、というわけではありません。国が推奨する大腸がん検診では、40歳以上の方は年1回の便潜血検査が基本です。一方、便潜血陽性、症状、家族歴、過去のポリープなどがある場合には、大腸カメラを検討することがあります。

Q2.39歳と40歳では、大腸がんのリスクは大きく違いますか?

40歳の誕生日を境に突然リスクが変わるわけではありません。大腸がんは年齢とともに徐々に増える病気で、その傾向や検診の利益と不利益を考えて40歳からの検診が推奨されています。

Q3.症状が何もなくても検診は必要ですか?

はい。大腸がん検診は、自覚症状がない方が定期的に受けることが大切です。早期の大腸がんでは症状がないことがあります。

Q4.家族に大腸がんがいます。40歳まで待ってよいですか?

家族歴の内容によって考え方が変わります。大腸がんになったご家族との関係、発症した年齢、人数などを確認し、一度医師へ相談することをおすすめします。

Q5.便潜血検査が陽性でした。来年もう一度検査すればよいですか?

便潜血検査で要精密検査となった場合には、便潜血検査を繰り返すのではなく、精密検査について医療機関へご相談ください。

 

まとめ

 

 

今回は、なぜ40代が大腸の健康を考える節目なのかについてお話ししました。

  • 大腸がんにかかる人は40歳代から増えてくる
  • 国が推奨する大腸がん検診は40歳以上、年1回
  • 40歳になった瞬間に病気のリスクが急上昇するわけではない
  • 40代でも大腸ポリープや大腸がんが見つかることがある
  • 早期の大腸がんでは自覚症状がないことがある
  • 症状がある場合には検診を待たず医療機関へ相談する
  • 家族歴や過去のポリープなどによって検査の考え方は変わる

40代になったからといって、急に大腸の病気を怖がる必要はありません。

一方で、「まだ若いから自分には関係ない」と考える年代でもなくなってきます。

40代を、自分の大腸の状態について少し意識し始めるきっかけにしていただければと思います。

 

おなかの中からふくいを元気にする。

これからも、皆さんがご自身の体について理解するためのお手伝いができればと思います。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

参考文献・参考情報

  • 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん検診について」
  • 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)予防・検診」
  • 厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」令和7年12月24日一部改正
  • 日本消化器内視鏡学会「大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン」