細い便・残便感が続くときは大腸カメラが必要? 〜「便が細い」「すっきり出ない」をそのままにしないために 〜
みなさんこんばんは。
ふくい内視鏡・胃腸クリニック 宇賀治良平です。
今回は、外来でもご相談いただくことの多い、
「最近、便が細くなった気がする」
「トイレに行っても、まだ残っている感じがする」
「便秘なのか、大腸の病気なのか心配」
という症状についてお話しします。
便の太さや残便感は、日によって変わることもあります。
食事内容、水分摂取量、便秘、ストレス、睡眠不足、運動不足などでも便の状態は変化します。
そのため、一度だけ便が細かったからといって、すぐに大きな病気と決めつける必要はありません。
ただし、
「以前より明らかに便が細くなった」
「残便感が何週間も続いている」
「血便や腹痛、お腹の張りもある」
「便潜血検査で陽性を指摘された」
という場合には、自己判断で様子を見続けず、原因を確認しておくことが大切です。
結論からお伝えすると、
細い便や残便感が続く場合は、便秘や肛門の病気だけでなく、大腸ポリープ・大腸がん・炎症性腸疾患などが隠れていないか確認するために、消化器内科での相談をおすすめします。
1. 「細い便」「残便感」とはどのような状態?

細い便とは、文字通り、以前と比べて便の太さが細くなった状態です。
ただし、便の太さには個人差があります。
また、食事量が少ないとき、便が硬いとき、下痢気味のとき、肛門に力が入りすぎているときなどにも、便が細く感じられることがあります。
一方、残便感とは、排便した後にも、
「まだ便が残っている感じがする」
「何度もトイレに行きたくなる」
「出したのにすっきりしない」
「肛門の近くに便が残っている感じがする」
といった感覚のことです。
便秘症の症状として残便感が出ることもありますし、直腸や肛門の近くに病気がある場合にも残便感を感じることがあります。
大切なのは、
一時的な変化なのか、続いている変化なのか
以前と比べて明らかに変わったのか
他の症状を伴っているのか
を確認することです。
2. 細い便・残便感で考えられる原因

細い便や残便感の原因は一つではありません。
代表的には、次のようなものがあります。
便秘
便秘になると、便が硬くなったり、腸の中に便がたまりやすくなったりします。
その結果、排便してもすっきりしない、何度もトイレに行きたくなる、便が細く少しずつ出る、という症状が出ることがあります。
特に、いきむ時間が長い方、便が硬い方、排便回数が少ない方では、便秘による残便感を感じやすくなります。
過敏性腸症候群
ストレスや生活リズムの乱れ、腸の動きの過敏さなどが関係して、便秘や下痢、腹痛、残便感が続くことがあります。
検査で大きな異常が見つからないにもかかわらず、便通異常やお腹の不調が続く場合には、過敏性腸症候群を考えることがあります。
ただし、最初から「ストレスのせい」と決めつけるのではなく、必要に応じて大腸の病気が隠れていないか確認することが大切です。
痔や肛門の病気
痔核、裂肛、肛門周囲の炎症などがあると、排便時の違和感や残便感を感じることがあります。
また、出血がある場合に「痔だと思う」と自己判断される方もいらっしゃいます。
もちろん実際に痔が原因のことも多いのですが、血便や下血は大腸の病気でも起こることがあります。
血が混じる、便の表面に血がつく、便潜血検査で陽性と言われた場合には、一度確認しておくことが大切です。
大腸ポリープ・大腸がん
大腸の中にポリープやがんなどの病変がある場合、便の通り道が狭くなり、便が細くなったり、残便感が出たりすることがあります。
特に、直腸やS状結腸など、肛門に近い部分に病変がある場合には、便の変化や血便、残便感として気づくことがあります。
大腸がんは、早期では症状が出にくいことがあります。
一方で、進行してくると、血便、便通異常、便が細くなる、残便感、腹痛、貧血、体重減少などの症状が出ることがあります。
「便が細い=大腸がん」と決めつける必要はありません。
しかし、以前にはなかった便の変化が続く場合には、大腸カメラで確認する意味があります。
炎症性腸疾患などの大腸の炎症
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患では、下痢、血便、腹痛、残便感、粘液便などが続くことがあります。
若い方でも起こることがあり、「痔だと思っていた」「下痢体質だと思っていた」という形で発見されることもあります。
血便、下痢、腹痛、発熱、体重減少などの症状もある方は、早めに医療機関へご相談ください。
3. こんな症状がある場合は早めに受診をおすすめします

次のような症状がある場合は、自己判断で様子を見続けず、早めにご相談ください。
便が細い状態が何週間も続いている
以前と比べて明らかに便が細くなった
排便後もすっきりせず、残便感が続いている
何度もトイレに行きたくなる
血便がある
便の表面に血がつく
黒い便が出る
便潜血検査で陽性を指摘された
便秘と下痢を繰り返している
お腹の張りが強い
腹痛を伴う
食欲が落ちている
体重が減ってきた
貧血を指摘された
ご家族に大腸がんや大腸ポリープの方がいる
特に、
便の変化だけではなく、血便・便の変化・体重減少・貧血・便潜血陽性
が組み合わせてある場合は、大腸の中を確認した方がよいことがあります。
4. 便潜血検査が陰性なら大丈夫?

「便潜血検査が陰性だったので、大腸カメラは必要ありませんか?」
というご質問をいただくことがあります。
便潜血検査は、大腸がん検診としてとても大切な検査です。
自覚症状がない方から、大腸がんの可能性を拾い上げる目的で行われます。
ただし、便潜血検査は、すべての大腸がんやポリープを見つけられる検査ではありません。
出血していない病変や、検査したタイミングで血液が混じっていなかった場合には、陰性になることもあります。
そのため、
細い便や残便感が続いている
血便がある
便通異常が続いている
体重減少や貧血がある
といった症状がある場合には、便潜血検査の結果だけで判断せず、診察のうえで必要な検査を検討することが大切です。
症状がある方は、「検診を受けるかどうか」ではなく、医療機関で症状の原因を相談することをおすすめします。
5. 大腸カメラでは何が分かるの?

大腸カメラは、肛門から内視鏡を挿入し、直腸から大腸の奥までを直接観察する検査です。
細い便や残便感がある場合、大腸カメラでは次のような病気がないかを確認します。
大腸ポリープ
大腸がん
潰瘍性大腸炎
クローン病
虚血性腸炎・腸炎後の変化
大腸憩室
直腸の炎症
痔や肛門周囲の病気との関連
大腸カメラの特徴は、実際に大腸の粘膜を直接観察できることです。
必要に応じて組織を一部採取して顕微鏡で調べたり、ポリープが見つかった場合には大きさや形によって切除を検討できることもあります。
「便が細い」「残便感がある」という症状だけでは、原因を正確に判断することはできません。
だからこそ、症状が続く場合には、大腸の中を確認することが大切です。
6. 自分でできることと、受診が必要な場合

便秘や生活習慣が関係している場合には、日常生活の見直しで改善することもあります。
たとえば、
水分や食物繊維を無理のない範囲でとる
朝食を抜かず、規則正しく生活する
軽い運動を取り入れる
排便を我慢しない
トイレで長時間いきみすぎない
便の状態を記録する
内服薬の影響がないか確認する
といったことが役立つ場合があります。
ただし、生活習慣を整えても症状が続く場合や、血便・体重減少・貧血・便潜血陽性などがある場合には、生活改善だけで様子を見るのはおすすめできません。
「便秘だと思っていた」
「痔だと思っていた」
「年齢のせいだと思っていた」
という症状の中に、大腸の病気が隠れていることがあります。
7. 当院での診療について

ふくい内視鏡・胃腸クリニックでは、細い便や残便感が続く方に対して、まず症状を丁寧に確認します。
診察では、
いつから症状があるか
以前と比べて便の太さが変わったか
便秘や下痢を伴うか
血便は内科
腹痛やお腹の張りがあるか
体重減少や貧血があるか
便潜血検査の結果
過去の大腸カメラ歴
大腸ポリープや大腸がんの家族歴
内服薬の内容
などを確認します。
そのうえで、必要に応じて、血液検査、腹部エコー、大腸カメラなどを組み合わせて検討します。
大腸カメラについては、不安や負担に配慮しながら、検査の流れや下剤の飲み方、鎮静剤の使用についても事前にご説明します。
細い便や残便感は、よくある症状です。
だからこそ、「よくあるから大丈夫」と決めつけず、続く場合には一度確認しておくことが大切です。
よくある質問 Q&A

Q1. 便が細いと大腸がんなのでしょうか?
便が細いからといって、すぐに大腸がんと決まるわけではありません。
便秘、食事量の変化、ストレス、肛門の緊張、痔などでも便が細く感じられることがあります。
ただし、以前より明らかに便が細くなった状態が続く場合や、血便、腹痛、お腹の張り、体重減少、貧血などを伴う場合には、大腸カメラで確認した方がよいことがあります。
Q2. 残便感だけでも受診した方がいいですか?
一時的な残便感で、すぐに改善する場合は様子を見ることもあります。
しかし、残便感が何週間も続く、何度もトイレに行きたくなる、便が細い、血が混じる、下痢や便秘を繰り返す、という場合には一度ご相談ください。
直腸や肛門に近い部分の病気で残便感が出ることもあるため、続く症状は確認しておくことが大切です。
Q3. 便潜血検査が陰性なら、大腸カメラは不要ですか?
便潜血検査が陰性でも、大腸の病気が完全に否定できるわけではありません。
便潜血検査は大腸がん検診として重要な検査ですが、症状の原因をすべて調べる検査ではありません。
細い便、残便感、血便、腹痛、体重減少、貧血などの症状が続く場合には、便潜血検査の結果だけで判断せず、医療機関で相談することをおすすめします。
まとめ

いかがでしたか?
細い便や残便感は、便秘や生活習慣、ストレス、痔など日常的にも起こることがあります。
一方で、大腸ポリープ、大腸がん、炎症性腸疾患など、大腸の中に原因がある場合にも起こることがあります。
大切なのは、
一度だけの変化で不安になりすぎることではなく、続いている変化をそのままにしないこと
です。
特に、便が細い状態が続く、残便感が続く、血便がある、便潜血陽性を指摘された、体重減少や貧血がある場合には、早めに消化器内科へご相談ください。
ふくい内視鏡・胃腸クリニックでは、福井の皆さまが安心して診療・検査を受けられるよう、症状に合わせた診療を心がけています。
おなかや便通のことでお困りの際は、お気軽にご相談ください。
参考文献、参考資料
・国立がん研究センター がん情報サービス:大腸がん(結腸がん・直腸がん)
・日本消化管学会 編:『便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症』南江堂
・大腸癌研究会 編:『大腸癌治療ガイドライン 医師用 2024年版』金原出版
・日本消化器病学会 編:『大腸ポリープ診療ガイドライン2020(改訂第2版)』南江堂
・日本消化器病学会 編:『炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020(改訂第2版)』南江堂


