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大腸カメラ前の下剤 飲めない人はどうするの? 飲み方、やり方について

おはようございます。ふくい内視鏡・胃腸クリニック 宇賀治良平です。
そろそろ四月も終わりを迎えていますね。連休も間近です。

新年度が始まり、体調を崩してしまう方もチラホラいらっしゃる印象です。

くれぐれもお身体に無理をされないように、お気をつけてお過ごしください!

 

1. 大腸カメラ前の不安と、当院でできる工夫について

 

 

今回は、大腸カメラの下剤についてのお話です。

皆さんが心配されることの一つに、大腸カメラの前の下剤をどうやって乗り切るか、ということがあります。

大腸カメラを受けるとき、多くの方が不安に感じるのが、検査そのものよりも
「下剤を飲みきれるかどうか」
という点です。

「量が多くて飲める気がしない」
「以前、気持ち悪くなってしまった」
「味が苦手で途中で止まってしまった」
「高齢の家族が自宅で飲めるか心配」

このようなご相談は、決して珍しくありません。

大腸カメラでは、大腸の中をきれいにしてから観察する必要があります。
腸の中に便が残っていると、小さなポリープや早期の病変が見えにくくなることがあるためです。
一般的にも大腸内視鏡検査では、前処置として腸管洗浄剤や下剤の服用が必要です。

ただし、「下剤が苦手=大腸カメラが受けられない」ということではありません。
大切なのは無理に我慢して飲むことではなく、事前に相談しその方に合った方法を一緒に考えることです。

 

2. 大腸カメラで下剤が必要な理由

 

大腸カメラは、大腸の粘膜を直接観察する検査です。

大腸の中に便や濁った水分が多く残っていると、

  • 小さなポリープが見えにくい
  • 早期がんなどの病変を見落とす可能性がある
  • 検査に時間がかかる
  • 場合によっては検査を中止・再検査することがある

といった問題が起こります。

そのため、大腸カメラの前には、食事制限や下剤・腸管洗浄剤を使って、できるだけ腸の中をきれいにしておく必要があります。腸管洗浄の状態は、大腸内視鏡検査の質に関わる重要な要素とされています。

 

3. 下剤が飲みにくいと感じる主な理由

 

 

下剤が飲みにくい理由は、人によってさまざまです。

 量が多い

大腸カメラの前処置では、一定量の腸管洗浄剤や水分を飲む必要があります。
「普段から水分をあまり飲まない」「一度にたくさん飲むのが苦手」という方には、大きな負担に感じられることがあります。

 味が苦手

腸管洗浄剤には独特の味があります。
「しょっぱい」「甘い感じが苦手」「においが気になる」など、味の相性で飲みにくくなる方もいます。

 吐き気が出る

早く飲みすぎたり、胃の中にたまりやすかったりすると、吐き気が出ることがあります。
以前の検査で吐き気が強かった方は、次回の検査に不安を感じやすくなります。

 トイレが心配

下剤を飲むと、何度もトイレに行く必要があります。
高齢の方、足腰に不安がある方、トイレまでの移動が大変な方では、自宅での前処置が不安になることがあります。

 持病や体調の不安がある

腎臓病、心臓病、脱水になりやすい方、高齢の方、便秘が強い方などでは、下剤の種類や飲み方に注意が必要な場合があります。前処置では、年齢、基礎疾患、排便状況、生活環境などを事前に確認したうえで方法を選ぶことが重要です。

 

4. 下剤が飲めない場合に考えられる工夫

 

下剤が苦手な方には、いくつかの工夫があります。
ただし、どの方法が適しているかは、年齢、便秘の程度、持病、内服薬、過去の検査歴によって異なります。

1. 飲むスピードを調整する

下剤を一気に飲もうとすると、吐き気やお腹の張り感(腹部膨満感)が出やすくなります。
指示された範囲の中で、少しずつ、無理のないペースで飲むことで楽になることがあります。

「早く飲みきらないといけない」と焦りすぎる必要はありません。
ただし、飲む量や時間には検査に必要な目安がありますので、自己判断で大きく変更せず、事前にご相談ください。

2. 冷やして飲む・味を感じにくくする

腸管洗浄剤の種類によっては、冷やすことで飲みやすく感じる方もいます。
また、飲む前後に口をゆすぐ、ストローを使うなどで、味やにおいが気になりにくくなることがあります。

水やお茶も合わせて飲んでいただきますが、そのほか飲んでよい飲み物には制限があります。
色の濃い飲み物や、検査に影響するものは避ける必要がありますので、クリニックでの指示に従ってください。

3. 前日の食事をより工夫する

前日の食事内容によって、当日の下剤の効き方が変わることがあります。

消化に時間がかかるもの、食物繊維が多いもの、種のあるもの、脂っこいものを多く食べると、腸の中に残りやすくなることがあります。

下剤が苦手な方ほど、前日の食事を整えることが大切です。
検査食を利用したり、消化のよい食事にしたりすることで、当日の前処置が進みやすくなる場合があります。

クリニックでも検査前説明でご説明をしますので、ご安心ください。

4. 便秘が強い方は、事前から準備する

普段から便秘が強い方は、検査当日だけ下剤を飲んでも、腸がきれいになりにくいことがあります。

このような場合には、検査の数日前から便通を整える薬を使うなど、事前準備を行うことがあります。

「便秘がある」「普段から数日に1回しか便が出ない」という方は、予約時または事前診察時に必ずお伝えください。

「いきなり前日夜・当日朝から下剤を頑張る」ではなく、

徐々に便通をコントロールしておく

ことが、前日・当日の下剤の負担を減らすことができます。

5. 院内で下剤を飲む方法を検討する

自宅で飲むのが不安な方には、院内で下剤を飲む方法が向いている場合があります。

院内であれば、

  • 体調を確認しながら進められる
  • 飲み方をスタッフに相談できる
  • 排便状況を確認しやすい
  • 気分不快が出たときに相談できる
  • 高齢の方や一人暮らしの方でも安心しやすい

というメリットがあります。

特に、過去に下剤で気分が悪くなった方、高齢の方、トイレ移動に不安がある方、ご家族が心配されている方は、院内下剤の選択肢についてご相談ください。

ただし、当日当院にて対応できる患者さんの数には限りがございますので、ご了承ください。

6. 下剤の種類を変更できる場合がある

腸管洗浄剤にはいくつかの種類があります。
味、量、飲み方、体への負担が少しずつ異なるため、過去に合わなかった薬剤がある場合には、別の方法を検討できることがあります。

ただし、腎機能、心臓病、脱水のリスク、内服薬などによって使いにくい薬剤もあります。
下剤の種類は、自己判断ではなく、医師が安全性を確認したうえで決める必要があります。

 

5. こんな方は、事前に必ずご相談ください

 

 

次のような方は、通常の前処置ではなく、個別の調整が必要になることがあります。

  • 過去に下剤で吐いたことがある
  • 下剤を最後まで飲めなかったことがある
  • 強い便秘がある
  • 高齢で自宅での前処置が不安
  • 一人暮らしで体調変化が心配
  • 腎臓病、心臓病がある
  • 水分制限を受けている
  • 糖尿病の薬を使用している
  • 血液をサラサラにする薬を飲んでいる
  • 腸閉塞を指摘されたことがある
  • 強い腹痛やお腹の張りがある

腸管洗浄剤は安全に使用されることが多い一方で、

まれに腸閉塞、腸管穿孔、虚血性大腸炎、嘔吐に関連した合併症などが問題になることがあります。

クリニックでの大腸カメラや、洗腸剤の内服において、安全面でリスクがあると判断した場合には、
必要に応じて機関病院で検査を行っていただくことをお勧めする場合がございます。

下剤は、排便、腹痛、吐き気、嘔吐などの状況を確認しながら慎重に進めることが大切です。

 

6. 「下剤が飲めないから検査をやめる」ではなく、どうやって検査ができるか。を一緒に考えましょう

 

大腸カメラは、大腸がんや大腸ポリープを見つけるために大切な検査です。

特に、便潜血検査で陽性になった方は、大腸内視鏡検査が重要な検査となります。

便潜血検査だけを繰り返すことは大腸がんの見落としにつながる可能性があるため、
精密検査としては不十分です。

「下剤が苦手だから、今回はやめておこう」
「飲めないかもしれないから、検査を受けないでおこう」

そう思われる方もいらっしゃいますが、
実際には、飲み方や準備方法を工夫することで検査につなげられる場合があります。

大切なのは我慢することではなく、

早めに相談することです。

 

当院で大切にしていること


 

ふくい内視鏡・胃腸クリニックでは、患者さんにとって少しでも負担の少ない大腸カメラを目指しています。

大腸カメラは検査中の痛みだけでなく、
前日の食事、下剤、トイレ、当日の不安まで含めて、患者さんにとって大きなイベントです。

そのため当院では、

  • 下剤が苦手な方への事前相談
  • 便秘の程度に合わせた準備
  • 自宅下剤・院内下剤の相談
  • できるだけ不安を減らす説明
  • 鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査への配慮

を大切にしています。

「以前つらかったから、もう受けたくない」
「でも、大腸がんは心配」

そのような方こそ、一度ご相談ください。
下剤の不安も含めて、検査を受けられる方法を一緒に考えていきます。

 

Q&A よくある質問

 

Q1. 下剤を全部飲めなかった場合、検査はできますか?

状況によります。
便が十分にきれいになっていれば検査できる場合もありますが、便が残っていると観察が不十分になり、検査時間が長くなったり、再検査が必要になったりすることがあります。

自己判断で中止せず、吐き気、腹痛、排便状況を含めてクリニックへご相談ください。

Q2. 以前、下剤で吐いてしまいました。次も同じ方法になりますか?

必ずしも同じ方法になるとは限りません。
前回の薬剤、飲んだ量、吐き気が出たタイミング、便秘の有無、持病などを確認したうえで、飲み方や薬剤、院内下剤などを検討できる場合があります。

過去に下剤でつらかった経験がある方は、事前診察時に必ずお伝えください。

Q3. 下剤を飲まずに大腸カメラを受けることはできますか?

原則として、大腸カメラでは腸の中をきれいにする前処置が必要です。
下剤をまったく使わずに検査をすると、便が残って病変を見つけることができない可能性が高いです。

ただし、「飲めない理由」によっては、前日の食事調整、便秘対策、院内での服用、薬剤変更などを検討できることがあります。まずはご相談ください。

 

まとめ

 

いかがでしたか?

大腸カメラの前には、腸の中をきれいにするために下剤・腸管洗浄剤が必要です。
しかし、下剤が苦手な方、飲みきれるか不安な方は少なくありません。

下剤が飲みにくい場合でも、

  • 飲むスピードを調整する
  • 前日の食事を工夫する
  • 便秘を事前に整える
  • 院内で下剤を飲む
  • 薬剤の種類を相談する

などの方法を検討できる場合があります。

下剤が不安だからといって、大腸カメラをあきらめる必要はありません。

過去に下剤でつらい思いをされた方、飲みきれるか心配な方は、予約時や事前診察時にお気軽にご相談ください。

 

参考文献・参考情報

国立がん研究センター がん対策研究所:有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン 2024年度版
日本消化器内視鏡学会:大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン
PMDA:腸管洗浄剤 適正使用ガイド
日本消化器がん検診学会:大腸がん検診マニュアル

この記事を執筆した人

この記事を執筆した人

宇賀治 良平

  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化日本肝臓病学会専門医
  • 器病学会専門医
  • 日本内科学会総合専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 日本消化器がん検診学会消化器がん検診総合認定医
  • 日本ヘリコバクター学会H. pylori感染症認定医

おなかの中からふくいを元気にする。を掲げ毎日の診療にあたっています。
少しでも辛くない検査をより多くの方に届けられるよう、スタッフ一丸となってより良い診療を提供します。