大腸カメラは「なぜ」痛いのか。つらい検査を少しでも減らしたい。麻酔や鎮痛剤ってあり?
こんばんは。
ふくい内視鏡・胃腸クリニック 宇賀治良平です。
今回のブログは、大腸カメラの「痛み」についてです。
痛みが出やすいタイミング・体の特徴・対策についてお話をしたいと思います。
今まで検査を受けた方も、受けたことがない方も、大腸カメラ検査に対して
「痛そう」「前回つらかった」
残念ながら当院でも100%の患者さんに、全く痛みがなかった!というような検査をご提供できているわけではありません。患者さんの体に合わせて、私たちドクター、医療者が研鑽を積んでいく必要があるとも思ってます。
多くの患者さんと接していく中でも「どうやったら痛みを減らせるか」は、私たちにとっても非常に大事なテーマです。
というイメージを持っている方は少なくありません。
実は、大腸カメラの痛みは痛みが出やすいタイミングがあったり、個人差の理由があったり、事前に知っておくことで必要な対策を行い、不安や苦痛を軽減できる場合もあります。
今回は、
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①大腸カメラがどのタイミングで痛みが出やすいのか
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②大腸カメラの痛みが出やすい体格や特徴について
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③検査で発生する痛みに対しての、できる対応策について
について解説したいと思います。
①大腸カメラがどのタイミングで痛みが出やすいのか

大腸カメラで痛みが出やすいのは、以下の場面であることが多いです。
カメラが曲がり角を通過するとき
大腸は1mほどの臓器ですが、一概にまっすぐではなく、いくつかの強いカーブがあります。
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①S状結腸
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②横行結腸
の二つの箇所は、お腹の中で固定されていないため、カメラを挿入することで伸びてしまうことがあります。
それらの場所を通過する際に腸が伸びてしまうことで痛みや張りを感じやすくなります。
腸に空気(または炭酸ガス)を入れるとき
腸を広げて観察するために空気を入れますが、この時に
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お腹が張る
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重苦しい痛み
トイレに駆け込みたくなるような、排便感
を感じる方がいます。
当院ではカメラでの観察を行うときは、炭酸ガスを使用しています。
炭酸ガスは通常の空気を送る観察方法に比べて、腹部の張り感が出づらく、検査後にも腹部の膨満感が改善されやすい
という特徴があります。
腸が動きにくい場合
腹部の手術がある方や、お腹の中に炎症を起こしたことがある人(強い虫垂炎や、腹膜炎など)においては、癒着や腸の固定が起こることがあります。
カメラ操作時に引っ張られる感覚が強くなり、痛みにつながることがあります。
② 痛みが出やすい人の体格や特徴

以下のような方は、比較的痛みを感じやすい傾向があります。
痩せ型の方
脂肪が少ないため腸が動きやすく、カメラ操作時に腸が引き伸ばされやすいことがあります。
女性
骨盤の形状や腸の長さの違いによって挿入が難しい場合があるとされています。
内臓脂肪が少ないことで大腸が支持をされにくくなり、大腸カメラによるループ形成(輪っかができてしまう)なども言われています。
便秘がちの方
普段から便秘をしている場合には「腸が長い方」や、「腸のねじれが強い方」も含まれており、
時にカメラが進みにくくなることがあります。
食事調整や下剤の調整を行うことによって残便が減り、少しでも検査時間を短くすることにつながります。
手術歴・癒着・憩室がある方
腹部や骨盤内の手術歴がある場合、癒着によって痛みが出やすくなることがあります。
憩室(壁の構造の弱いところ)も、炎症を繰り返し起こすことで腸管が硬くなってしまい、カメラが通過する際に痛みを感じることがあります。
これらが存在することが「必ず痛い」という意味ではありません。
同じ条件でも、ほとんど痛みを感じない方も多くいらっしゃいます。
内視鏡の事前診察の際には、手術歴や腹膜炎になったことがある!などとお伝えください。
それによって、以下にお伝えする「痛み対策」を提案することがあります。
③痛みに対する対策について

痛みを減らすための工夫はいくつかあります。カメラを受ける方は、
ぜひともお試しになってみてください。
検査前に「不安」や「前回の経験」を伝えておく
「前回痛かった。」「とても不安。」
この一言だけでも、検査中のドクター・スタッフの配慮が変わります。
声掛けのタイミングや、鎮静剤・鎮痛剤の使用の場合にも、投与量やタイミングについて検討を行いながら投与をしていきます。
ドクター・スタッフ皆が辛くない検査を提供したいと思っていますので、不安がある場合には遠慮なくお伝えください。
鎮静剤(眠くなる薬)を使用する
鎮静剤を使うことによって、意識をぼーっとさせることができます。個人差はありますが、ウトウトした状態で検査を受けることで、
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痛み・不快感・恐怖感 を軽減できる場合があります。
痛みは不快感や恐怖感によっても強く感じることもあり、安心して検査を受けていただくことも大変重要なことです。
「我慢して完遂する検査」よりも「痛みを我慢することなく、次にも受けてもいい検査」
を受けていただくことが、長期的な目線からも望ましいものです。
当院でも検査の前にお伝えしていますが、
鎮静剤・鎮痛剤の使用では「翌日の朝までは車(自転車も含む)の運転を避けていただく」必要がありますので、
ご家族のお迎えができる、公共交通機関が利用できる、などの日程を選んでいただくことが良いと思います。
呼吸を止めずに力を抜く
緊張してお腹に力が入ると、痛みを感じやすくなります。
ウッと息を止めてしまい、その後ハアハアとしてしまうことで、横隔膜の動きによって腸管も一緒に大きく動いてしまい、実際にカメラを入れる難易度も上がってしまうことがありますので・・
ゆっくり深呼吸を意識するだけでも違いが出ます。
ぜひ、検査の際には肩の力を抜いて、ゆっくりと呼吸を整えるように心がけていただけると大変嬉しいです。
痛みを我慢しすぎない
「痛い」と感じたら、遠慮せずに伝えてください。
我慢することが良い検査につながるわけではありません。
カメラの挿入の仕方を変えたり、追加で鎮静剤・鎮痛剤を使用することもできます。
繰り返すようですが、人生1回の検査ではなく、繰り返してもらう必要がある検査ですので、毎回の検査が辛くないものであってほしいと思っています。
我慢をすることでつらい思いをしてしまい、次回の検査をするべきタイミングでの検査に繋がらなくなってしまうのは、一番避けたいことです。
前回カメラが痛かった・つらかった患者さんへ

前回つらい思いをされた方ほど、次の検査が怖くなる、嫌になってしまうのは当然です。
実は、大腸カメラは、毎回と言って必ず同じ痛みが出るといったわけでもなく
検査の痛みは、
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・検査を行うドクター
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・使用する機材・スコープ
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・鎮静剤・鎮痛剤の有無
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・体調や腸の状態、残便の状態
の要素によって、つらさは大きく変わります。
「前回痛かったから、今回も必ず痛い」
というわけではありません。
不安や過去の経験は、事前に伝えていただくことで対策が取れます。
私たちも「できる限り負担のない検査にしたい!」というのは同じ気持ちです。
Q&A

Q1.「前回は途中から痛みが強くなりました。
最初から鎮静剤を使っていた方がよかったのでしょうか?」
A.前回強い痛みがあった方は、鎮静剤の使用を検討する価値があります。
鎮静剤の使用で、痛みだけでなく不安や恐怖感も和らげることができ、結果として検査をスムーズに終えることができます。
特に「途中でつらくなった」「怖い印象がついてしまった」という方は、最初から使用することで負担が軽減されることも少なくありません。
鎮静剤の使用について、事前診察の際に相談していただくことが大切です。
Q2.「検査中に痛みを感じたら、検査が途中で中止になることはありますか?」
A.多くの場合は工夫や対応で検査を続けることができます。
痛みを感じた場合に、スコープの操作方法・挿入方法を変えたり、体の向きを変えたり、腹部の圧迫をすることや、鎮静剤・鎮痛剤を追加すること
で改善できることが多くあります。
我慢を続ける必要はありませんので、「痛い」「つらい」と感じた時点で遠慮なくお伝えください。
患者さんの状態を見て、方法を調整・変更しながら、検査を進めていきます。
Q3.「鎮静剤を使うと、どのくらい楽になりますか?」
A.個人差はありますが、痛みや不快感を大きく軽減できる方が多いです。
鎮静剤を使用すると、うとうとした状態で検査を受けられるため、痛みや恐怖感を感じにくくなることがあります。
「全く覚えていなかった」「気づいたら終わっていた」とお話しされる方もいらっしゃいます。
一方、鎮静剤の使用によって完全に眠るわけではないため、痛みが絶対にゼロになるとは限りません。
鎮静剤のメリット・注意点を理解したうえで、不安の強さに合わせて選択していただくことが大切です。
まとめ
大腸カメラの痛みは
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痛みが出やすいタイミング・部位
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自分の体の特徴
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それらに対する適切な対応
を知る、検査を通して経験をしていくことで、軽減できる可能性があります。
検査は「我慢するもの」ではなく、「安全に受けるもの」です。
検査が怖くて、つらくて受けたくない!と思っている患者さんを一人でも減らすことに、私たちがお力になれれば幸いです。
参考文献
Predictors for difficult cecal insertion in colonoscopy: The impact of obesity indices
:World J Gastroenterol 2017 April 7; 23(13): 2346-2354
Patient pain during colonoscopy: an analysis using real-time magnetic endoscope imaging
. 2002 Jun;34(6):435-40. doi: 10.1055/s-2002-31995.


