大腸カメラが怖くて受けられない方へ 〜痛み・下剤・鎮静への不安を減らすために〜
0.はじめに
おはようございます。
ふくい内視鏡・胃腸クリニック 宇賀治良平です。
お盆も明けましたが、まだまだ暑い日が続きますね!
水分をとりながら、体調に気をつけてお過ごしください。
さて今回は、外来でもご相談いただくことのある、
「大腸カメラを受けた方がいいのは分かっている。でも、やっぱり怖い」
という気持ちについてお話ししたいと思います。
初めて大腸カメラを受ける方であれば、
- ・痛いのではないか
- ・下剤を飲みきれるだろうか
- ・鎮静剤は大丈夫なのか
- ・恥ずかしくないだろうか
- ・もし大きな病気が見つかったらどうしよう
など、いろいろなことが心配になると思います。
また、以前に大腸カメラでつらい経験をされた方ほど、「もう二度と受けたくない」と感じることもあるでしょう。
ただ、一口に「大腸カメラが怖い」と言っても、その理由は人によって違います。
そして、何が一番心配なのかが分かると、それぞれにできる工夫や対策が見えてくることがあります。
今回は「大腸カメラが怖い」という気持ちをいくつかに分けながら、少しでも不安を減らすために知っておいてほしいことをお伝えします。
1.まず「何が怖いのか」を分けてみましょう

大腸カメラをためらっている方には、まず一度、
「私は、大腸カメラの何が一番怖いのだろう?」
と考えてみていただきたいと思います。
例えば、
- 検査中の痛み
- 大量の下剤を飲むこと
- 鎮静剤を使うこと
- 病気が見つかること
- 検査そのものへの恥ずかしさ
- 何をされるのか分からないこと
では、必要な対策がそれぞれ違います。
漠然とした「怖い」を、具体的な不安に分けてみることが第一歩です。
診察の際にも、
「前回の検査が痛かったです」
「下剤が一番心配です」
「鎮静剤を使うのが怖いです」
というように、心配していることをそのままお話しいただいて大丈夫です。
2.「痛そうで怖い」という方へ

大腸カメラで最もイメージされやすい不安が、やはり「痛み」だと思います。
大腸はまっすぐな管ではなく、いくつもの曲がりがあります。
また、腸の形や長さ、過去の手術歴、当日の腸の状態などによっても、検査中の感じ方には個人差があります。
そのため、残念ながら「誰でも絶対に痛くない検査です」とは言い切れません。
一方で、以前につらい経験があったからといって、次回もまったく同じようにつらくなるとは限りません。
内視鏡の挿入方法を工夫したり、体勢を調整したり、必要に応じて鎮静剤を使用したりすることで、検査の負担を軽減できる場合があります。
特に、過去に強い痛みがあった方は、そのことを検査前に医師へ伝えていただくことが大切です。
3.「下剤を飲めるか怖い」という方へ

実は大腸カメラでは、検査そのものよりも、
「検査前の下剤が心配です」
という方も少なくありません。
大腸カメラでは、小さなポリープや病変を観察しやすくするために、あらかじめ大腸の中をきれいにしておく必要があります。
そのため腸管洗浄剤を服用しますが、味や量、トイレに何度も行くことなどが負担になることがあります。
以前に、
- 途中で気持ち悪くなった
- 飲みきれなかった
- なかなか便がきれいにならなかった
- 自宅で一人で飲むのが不安だった
という経験がある方は、事前に教えてください。
「下剤が苦手だから、大腸カメラは受けられない」と最初から決めてしまう必要はありません。
当院でも、下剤の飲み方や服用する場所などについて事前にご相談いただけます。
4.「鎮静剤を使うのが怖い」という方へ

「検査は怖い。でも鎮静剤も怖い」
という方もいらっしゃいます。
鎮静剤は、大腸カメラを受ける際の不安や苦痛を軽減するための選択肢のひとつです。
一方で、薬ですので、誰にでもまったく同じように使用できるわけではありません。
年齢、持病、内服薬、これまでの鎮静剤の経験、その日の体調などを確認したうえで、使用するかどうかを考えることが大切です。
また、鎮静剤を使用したからといって、すべての方で痛みや不快感が完全になくなるとは限りません。
当院では鎮静剤を使用した大腸カメラにも対応しています。
「使いたい」「使いたくない」のどちらであっても、まずは希望や心配なことをご相談ください。
なお、鎮静剤を使用した場合は、検査後に自動車・オートバイ・自転車などの運転はできませんので、帰宅方法もあらかじめ考えておく必要があります。
5.「病気が見つかるのが怖い」という方へ

「もし大きな病気が見つかったらどうしよう」
そう考えると、検査を受けること自体が怖くなってしまう方もいらっしゃると思います。
ただ、検査で病気やポリープを見つけることは、決して「悪い結果を知るため」だけではありません。
早い段階で体の変化に気づき、必要な対応につなげることは、これからの体を守ることにつながります。
例えば、大腸カメラでポリープが見つかっても、すべてが大腸がんというわけではありません。ポリープにはさまざまな種類があり、病変によっては内視鏡で切除できる場合があります。
また、もし治療が必要な病気が見つかった場合でも、早い段階で分かることで、その後の治療や対応の選択肢が広がる可能性があります。
一方で、検査を受けなければ、体の中の変化に気づく機会を逃してしまうこともあります。
大腸カメラは、病気を探して不安になるための検査ではなく、今の状態を確認し、これからの健康を守るための検査のひとつと考えていただければと思います。
「異常がなかった」と確認できることも大切ですし、「早めに見つけて対応できた」ということも、検査を受ける大きな意味のひとつです。
6.「恥ずかしい・何をされるか分からない」という方へ

初めて大腸カメラを受ける方にとって、検査の内容そのものがよく分からないことも不安の原因になります。
「どんな服装で受けるの?」
「検査中はどんな体勢なの?」
「どのくらい時間がかかるの?」
「検査が終わったらすぐ帰れるの?」
こうしたことが分からないまま検査当日を迎えると、不安が強くなるのも自然なことです。
だからこそ、検査前に流れを知っておくことは大切です。
分からないことや恥ずかしいと感じていることについても、遠慮せずに医療スタッフへお尋ねください。
7.怖くても先延ばしにしない方がよいケース

大腸カメラへの不安が強い場合、まず相談してから検査を考えることでもよいと思います。
一方で、検査への怖さだけを理由に長期間そのままにしない方がよい場合もあります。
例えば、
- 健診で便潜血陽性を指摘された
- 血便を繰り返している
- 便秘や下痢など、以前と違う便通の変化が続いている
- 原因のはっきりしない貧血を指摘された
- 体重減少など気になる変化がある
- 家族に大腸がんの方がいて、自分の検査時期について迷っている
といった場合には、一度消化器内科へご相談ください。
特に、便潜血検査で「要精密検査」と判定された場合には、症状がなくても精密検査を受けることが大切です。
便潜血検査をもう一度受け直すことは、精密検査の代わりにはなりません。
「怖いから来年まで待とう」と自己判断するのではなく、まず相談して、ご自身に必要な検査を確認しましょう。
8.検査を決める前に「相談」からで大丈夫です

大腸カメラが怖い方に、最後にお伝えしたいことがあります。
「大腸カメラを受ける」と決心してから病院へ行かなくても大丈夫です。
まずは、
- 自分に大腸カメラが必要なのか
- いつ受けるのがよいのか
- 何が一番心配なのか
- 前回の検査で何がつらかったのか
- 鎮静剤や下剤についてどんな選択肢があるのか
を相談するところから始めてください。
特に過去に大腸カメラを受けたことがある方は、「前回ここがつらかった」という情報がとても大切です。
怖さをゼロにしてから検査を受ける必要はありません。
何が心配なのかを一緒に整理し、必要な準備をしてから検査を考えていきましょう。
よくある質問 Q&A

Q1.前回の大腸カメラがとても痛かったです。今回も同じように痛いですか?
必ず同じような痛みになるとは限りません。検査を行う方法、腸の状態、体調、鎮静剤の使用などによって感じ方が変わることがあります。前回どの場面がつらかったのかを、検査前に医師へお伝えください。
Q2.鎮静剤を使えば絶対に痛くないですか?
鎮静剤によって不安や苦痛が軽減される場合がありますが、すべての方で痛みが完全になくなるとは限りません。また、安全に使用するためには年齢や持病、体調などの確認が必要です。使用を希望される場合は事前にご相談ください。
Q3.下剤を飲みきれる自信がありません。それでも相談していいですか?
もちろんです。以前に飲みきれなかった、吐き気が出た、味が苦手だったなど、具体的な経験があれば教えてください。「下剤が苦手だから検査は無理」と判断する前に、一度ご相談ください。
Q4.病気が見つかるのが怖くて検査を受けられません。
検査結果が怖いという気持ちも、検査をためらう理由のひとつだと思います。ただ、大腸ポリープが見つかってもすべてが大腸がんというわけではなく、早い段階で見つけることで内視鏡治療などが可能な病変もあります。一人で悩まず、まずはご自身にどのような検査が必要なのか相談してみてください。
Q5.便潜血陽性ですが、症状がありません。怖いので来年もう一度便潜血を受けてもいいですか?
便潜血検査で要精密検査となった場合は、症状がなくても精密検査を受けることが勧められています。便潜血検査をもう一度受けることは精密検査の代わりにはなりません。大腸カメラが怖い場合には、その不安も含めて消化器内科へご相談ください。
まとめ

いかがでしたか?
今回のポイントをまとめます。
- 「大腸カメラが怖い」と感じる理由は人によって違います。
- まず「何が一番怖いのか」を整理することが大切です。
大腸カメラは、「絶対に怖くない検査です」と言い切れるものではありません。
しかし、何が不安なのかを整理し、その不安に合わせた準備をすることで、検査へのハードルを下げられることがあります。
お一人で悩まず、一度ご相談ください。
ふくい内視鏡・胃腸クリニックでは、必要な方が少しでも不安や負担を減らして検査を受けられるよう、一緒に方法を考えていきたいと思っています。
おなかの中からふくいを元気にする。
これからも、患者さんが安心してご自身の健康について考えられる情報をお届けしていきます。
参考文献・参考情報
- 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん検診について」
- 日本消化器内視鏡学会「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン(第2版)」日本消化器内視鏡学会雑誌 2020;62.
- 日本消化器がん検診学会「大腸がん検診マニュアル―2021年度改訂版―」2022.
- 日本消化器内視鏡学会「大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン」日本消化器内視鏡学会雑誌 2020;62.


