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おなかの痛みを「様子見」で終わらせないために

こんばんは。
ふくい内視鏡・胃腸クリニックです。

地域によっては梅雨入りしたとのことですが・・もう梅雨の季節がそろそろかと思うと、本当に時間が過ぎるのは早いですね。

今回は、外来でもよくご相談いただく、

「腹痛が続いているのですが、検査した方がいいですか?」
「おなかが痛いけれど、胃カメラや大腸カメラは必要ですか?」
「ストレスや便秘だと思って様子を見ていて大丈夫ですか?」

という内容についてお話しします。

腹痛は、とてもよくある症状です。
一時的な食べ過ぎ、冷え、便秘、胃腸炎、ストレスなどで起こることもあります。

ただし、腹痛が何日も続く、何度も繰り返す、便通の変化や血便を伴う、体重が減ってきた、貧血を指摘された、という場合には、
単なる体調不良として片づけず、原因を確認しておくことが大切です。

結論からお伝えすると、
腹痛が続く場合は、一度消化器内科で相談し、必要に応じて検査を受けることをおすすめします。

 

1. 腹痛の原因をお腹だけでは判断できません

 

 

腹痛といっても、原因は一つではありません。

胃や十二指腸、大腸、小腸だけでなく、胆のう、膵臓、肝臓、腎臓、尿管、婦人科系の病気など、さまざまな臓器が関係することがあります。

また、痛みの場所によっても考える病気は変わります。

みぞおちが痛い場合は、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、機能性ディスペプシアなどが関係することがあります。

下腹部が痛い場合は、便秘、過敏性腸症候群、感染性腸炎、炎症性腸疾患、大腸ポリープ、大腸がん、憩室炎などを考えることがあります。

右上腹部の痛みであれば胆石や胆のう炎、背中まで響くような痛みであれば膵臓の病気などを考えることもあります。

つまり、腹痛は「痛み止めを飲んで終わり」ではなく、どこが、どのように、どのくらい痛いのか
食事や排便と関係があるのか
発熱・血便・下痢・便秘・体重減少などを伴うのか
を確認することが大切です。

 

2. こんな腹痛は早めの受診をお勧めします

 

 

次のような症状がある場合は、どうぞお早めにご相談ください。

腹痛が数日以上続いている /  腹痛を何度も繰り返している

便秘や下痢が続いている   / 便が細くなった

血便がある / 黒い便が出る

便潜血検査で陽性を指摘された

おなかの張りが強い

吐き気や嘔吐を伴う

食欲が落ちている  /  体重が減ってきた

貧血を指摘された

夜間に痛みで目が覚める

以前と違う腹痛が出てきた

  • 特に、血便、便通異常、体重減少、貧血、発熱を伴う腹痛は、注意して確認したい症状です。

「たぶん便秘だと思う」
「ストレスだと思う」
「痔があるから血便はそのせいだと思う」

このように自己判断される方も少なくありません。

もちろん、実際に便秘やストレス、痔が原因のこともあります。
しかし、症状だけでは大腸の中の状態までは分かりません。

続く症状がある場合は、必要な検査で確認しておくことが大切です。

3. 腹痛のときに行う検査

 

 

腹痛があるからといって、全員に同じ検査を行うわけではありません。

症状、痛みの場所、年齢、既往歴、内服薬、便の状態、血液検査の結果などを確認しながら、必要な検査を選びます。

主な検査には、次のようなものがあります。

血液検査

炎症の有無、貧血、肝臓・胆のう・膵臓の数値、栄養状態などを確認します。
腹痛の原因が消化管だけでなく、肝臓・胆のう・膵臓などに関係していないかを調べるために役立ちます。

腹部エコー検査

肝臓、胆のう、膵臓、腎臓などを確認します。
胆石、胆のう炎、肝臓の異常、腎臓や尿管の異常などが疑われる場合に有用です。

胃カメラ検査

みぞおちの痛み、胃もたれ、吐き気、食欲低下、胸やけ、黒い便などがある場合には、胃カメラで食道・胃・十二指腸を確認します。

胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、胃がんなどを調べることができます。

大腸カメラ検査

下腹部痛、便秘、下痢、血便、便が細い、残便感、便潜血陽性、貧血などがある場合には、
大腸カメラで大腸の中を直接確認します。

大腸ポリープ、大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病、虚血性腸炎、憩室炎後の変化などを調べることができます。

大腸カメラは、症状の原因を確認するだけでなく、ポリープが見つかった場合にその場で切除を検討できることもあります。

 

4. 大腸カメラが必要な腹痛とは

 

 

腹痛がある方全員に大腸カメラが必要というわけではありません。

大腸がんは、早期では症状が出にくいことがあります。
一方で、進行してくると、血便、便通異常、腹痛、便が細い、貧血、体重減少などの症状が出ることがあります。

「腹痛だけだから大丈夫」とは言い切れません。
腹痛に便の変化が重なっている場合は、特に注意が必要です。

 

5. ストレス性の腹痛でも検査が必要

 

 

 

腹痛の原因として、過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアのように、ストレスや胃腸の動き、知覚過敏などが関係する病気もあります。

このような病気では、検査をしても大きな異常が見つからないことがあります。

しかし、ここで大切なのは、最初から“ストレスのせい”と決めつけないことです。

大腸がん、胃がん、胃潰瘍、炎症性腸疾患などの病気が隠れていないかを確認したうえで、機能性の病気として治療していくことが重要です。

「検査で異常がない」と分かることで、安心して治療に進める場合もあります。

腹痛が続いている場合には、ストレスや体質だけで判断せず、一度医療機関で相談してみることをおすすめします。

 

6. 市販薬で様子を見てもいいのか

 

 

 

軽い腹痛で、短期間で改善する場合には、市販薬で様子を見ることもあるかもしれません。

しかし、市販薬で症状が一時的に隠れてしまうことで、受診のタイミングが遅れることもあります。

  • 「いつもと違う」

  • 「長引いている」

  • 「何度も繰り返す」

このような腹痛は、一度ご相談ください。

 

7. 当院の腹痛診療について

 

 

 

当院では、腹痛の原因を一つに決めつけず、症状を確認したうえで、必要な検査を検討します。

診察では、痛みの場所、痛み方、食事との関係、排便との関係、便の状態、発熱、体重変化、内服薬、過去の検査歴などを確認します。

必要に応じて、採血、腹部エコー、胃カメラ、大腸カメラなどを組み合わせて原因を調べます。

胃カメラ・大腸カメラについては、できるだけ不安や負担を少なく受けていただけるよう、鎮静剤の使用なども含めてご相談可能です。

腹痛は、よくある症状だからこそ、見逃してはいけない病気が隠れていることがあります。

「検査を受けるほどではないかも」と迷う段階でも、まずは診察でご相談ください。

 

よくある質問 Q&A

 

 

 

Q1. 腹痛が続く場合、何日くらいで受診した方がいいですか?

強い痛み、発熱、血便、嘔吐、黒い便、体重減少などがある場合は、早めに受診してください。
軽い痛みでも、数日以上続く場合や、繰り返す場合は一度相談されることをおすすめします。

Q2. 腹痛だけでも大腸カメラは必要ですか?

腹痛だけで必ず大腸カメラが必要というわけではありません。
ただし、便秘、下痢、血便、便潜血陽性、貧血、体重減少、便が細いなどを伴う場合は、大腸カメラを検討することがあります。

Q3. 胃カメラと大腸カメラのどちらが必要か分かりません。

痛みの場所や症状によって判断します。
みぞおちの痛み、胃もたれ、吐き気、黒い便などがある場合は胃カメラを検討します。
対して、下腹部痛、便通異常、血便、便潜血陽性などがある場合は大腸カメラを検討します。
検査については、その場で決めてすぐに、というわけではありませんので、安心してご来院ください。

Q4. 検査をして異常がなければ安心してよいですか?

大きな病気が否定できれば、過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアなど、胃腸の働きや知覚過敏が関係する病気として治療を進めることがあります。
「異常がないから何もできない」ではなく、症状に合わせた治療や生活習慣の見直しを行うことが大切です。

Q5. 便秘による腹痛だと思うのですが、受診した方がいいですか?

便秘でも腹痛は起こります。
ただし、便秘が急に悪化した、便が細くなった、血便がある、体重が減っている、貧血を指摘された、という場合は、便秘だけと決めつけず検査を検討した方がよいことがあります。

 

まとめ

 

 

 

いかがでしたか?

腹痛は、誰にでも起こりうる身近な症状です。

しかし、腹痛が続く、繰り返す、便通異常や血便を伴う場合には、検査で原因を確認した方がよいことがあります。

大切なのは、
「腹痛=すぐ大腸カメラ」ではなく、症状に応じて必要な検査を選ぶこと
です。

胃の症状が強ければ胃カメラ、便の変化や血便があれば大腸カメラ、胆のうや肝臓などが疑われる場合は腹部エコーや採血など、原因に合わせて調べていきます。

おなかの痛みが続いている方、
便通の変化が気になっている方、
検査を受けるべきか迷っている方は、どうぞ一度ご相談ください。

ふくい内視鏡・胃腸クリニックでは、福井の皆さまが安心して検査・診療を受けられるよう、できるだけ負担の少ない診療を心がけています。

おなかのことでお困りの際は、お気軽にご相談ください。

 

参考文献、参考資料

  • 日本消化器病学会 編:『消化性潰瘍診療ガイドライン2026(改訂第4版)』南江堂

  • 大腸癌研究会 編:『大腸癌治療ガイドライン 医師用 2024年版』金原出版

  • 日本消化管学会 編:『便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症』南江堂

  • 日本消化器病学会 編:『胆石症診療ガイドライン2021(改訂第3版)』南江堂

  • 日本消化器病学会 編:『機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)(改訂第2版)』南江堂

  • 日本消化器病学会 編:『胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021(改訂第3版)』南江堂

  • 日本消化器病学会 編:『炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020(改訂第2版)』南江堂、

  • 日本消化器病学会 編:『大腸ポリープ診療ガイドライン2020(改訂第2版)』南江堂

この記事を執筆した人

この記事を執筆した人

宇賀治 良平

  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化日本肝臓病学会専門医
  • 器病学会専門医
  • 日本内科学会総合専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 日本消化器がん検診学会消化器がん検診総合認定医
  • 日本ヘリコバクター学会H. pylori感染症認定医

おなかの中からふくいを元気にする。を掲げ毎日の診療にあたっています。
少しでも辛くない検査をより多くの方に届けられるよう、スタッフ一丸となってより良い診療を提供します。