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若い人の大腸ポリープは増えている?知っておきたい背景と検査の目安

こんにちは。ふくい内視鏡・胃腸クリニック 宇賀治良平です。

お盆に入りましたね。みなさまはいかがお過ごしでしょうか?

朝は比較的心地の良い気温で気持ちよく過ごすことができますが、日中は暑くて大変ですね・・
みなさまもくれぐれもお身体にお気をつけてお過ごしください。

さて、今回は30歳代、40歳代の方に向けてのお話です。

「大腸ポリープは、50代や60代になってからできるもの」
このようなイメージを持っている方は多いかもしれません。

しかし実際に大腸カメラを行っていると、30代や40代の比較的若い方でも大腸ポリープが見つかることがあります。
さらに近年、海外では50歳未満で発症する「若年発症大腸がん」が増加していることが報告されており、若い世代の大腸の病気にも注目が集まっています。

では、若い人の大腸ポリープそのものも、本当に増えているのでしょうか。
今回は、若い方に大腸ポリープが見つかる背景と、どのような場合に大腸カメラを考えたほうがよいのかについて解説します。

 

1.若い人でも大腸ポリープは見つかります

 

 

「大腸ポリープは、50代や60代になってからできるもの」

そのようなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

確かに、大腸ポリープは年齢とともに見つかる割合が高くなります。しかし、20代や30代、40代といった比較的若い世代でも、大腸カメラを行うとポリープが見つかることがあります。

海外の大規模な内視鏡データでは、50歳未満の方でも「腺腫」と呼ばれる大腸ポリープが一定数見つかっており、若い世代でもその割合が増えていることを示した報告があります。

さらに近年、海外では50歳未満で発症する「若年性大腸がん」が増加していることも注目されています。

もちろん、「若い人のポリープがすべて増えている」「若いから大腸がんになりやすい」という意味ではありません。

しかし、若いという理由だけで、大腸の病気を完全に除外することはできない時代になってきています。

特に、血便、便通の変化、便潜血検査陽性、ご家族に大腸がんや大腸ポリープの方がいる場合などには、年齢にかかわらず一度大腸を調べることが大切です。

 

2.なぜ若い世代でも大腸がんが増えてきているのでしょうか?

 

 

実は、その理由がひとつだけ明確に分かっているわけではありません。

むしろ現在の研究では、「これが原因です」と断定できる単一の要因は見つかっておらず、いくつかの要因が少しずつ重なり合って影響している可能性が考えられています。

そのため、肥満や食生活、運動不足、喫煙などの生活習慣に加えて、家族歴や遺伝的な要因、腸内環境の変化など、さまざまな要素が複雑に関係しているのではないかと考えられています。

特に50歳未満で発症する「若年性大腸がん」については世界的に研究が進んでおり、若い頃からの生活習慣や代謝の状態が関係している可能性が注目されています。

若年性大腸がんについて、これまでに行われた20の研究をまとめたシステマティックレビュー・メタ解析では、いくつかの生活習慣や背景因子との関連が報告されています。

特に関連が強かったのが「家族歴」です。両親や兄弟姉妹、子どもなどの一親等のご家族に大腸がんの方がいる場合、若年性大腸がんのリスクは約4.2倍高いという結果でした。

また、高脂血症がある方では約1.6倍、肥満がある方では約1.5倍、多量に飲酒する方では約1.7倍と、若年性大腸がんとの関連が認められています。

ただし、これらの数字は「肥満であれば必ず1.5倍の確率で大腸がんになる」という意味ではありません。複数の研究をまとめた結果であり、研究ごとに対象となった人や生活環境などにも違いがあります。

大切なのは、若年性大腸がんの増加には一つの原因だけが関係しているのではなく、家族歴や遺伝的な体質に加えて、肥満、脂質代謝、飲酒など、複数の要因が重なり合って関係している可能性があるということです。

特に、ご家族に大腸がんの方がいる場合は、若いからという理由だけで安心せず、血便や便通の変化など気になる症状があれば早めに消化器内科へ相談することが大切です。

 

3.大腸ポリープは症状がないことが多い

 

 

大腸ポリープで注意したいのは、できてもほとんど症状がないことです。

「お腹が痛くないから大丈夫」

「便通は毎日あるから問題ない」

というだけでは、大腸ポリープがないとは判断できません。

特に小さなポリープでは、自覚症状がまったくないまま、大腸カメラで偶然発見されることがあります。

大腸ポリープの中でも「腺腫」や一部の「鋸歯状病変」は、時間をかけて大腸がんへ進展する可能性があります。

そのため、必要なポリープを大腸カメラで発見し、適切に切除することは、大腸がんの予防につながります。

 

4.若くても大腸カメラを考えたいケース

 

 

年齢だけを理由に、大腸カメラが必要かどうかを判断することはできません。

例えば、40歳未満であっても、次のような場合には一度医療機関へ相談することをおすすめします。

  • 便に血が混じる、血便が繰り返す
  • 便潜血検査が陽性だった
  • 便秘や下痢など、これまでと違う便通異常が続いている
  • 原因の分からない鉄欠乏性貧血を指摘された
  • 両親や兄弟姉妹に大腸がん・大腸ポリープの方がいる
  • 家族の中に若くして大腸がんになった方がいる
  • 過去に大腸ポリープを切除したことがある
  • 潰瘍性大腸炎など、大腸がんのリスクに関係する病気がある

特に血便について、「若いから痔だろう」と自己判断してしまうのはおすすめできません。

実際には痔による出血も多いのですが、症状だけで痔と大腸の病気を完全に区別することは困難です。

 

5.40歳になったら大腸がん検診も忘れずに

 

 

日本では、40歳以上の男女に対して、年1回の便潜血検査による大腸がん検診が推奨されています。

便潜血検査は、目では分からないわずかな血液が便に含まれていないかを調べる検査です。

そして、便潜血検査で陽性となった場合には、精密検査として大腸カメラを受けることが重要です。

「痔があるから陽性になっただけだと思う」

「もう一度便潜血検査をして、陰性なら大丈夫では?」

と考える方もいらっしゃいますが、便潜血陽性を再検査だけで済ませることはおすすめできません。

一方、40歳未満であっても、先ほど挙げた症状や家族歴などがある場合には、検診年齢になるまで待つ必要はありません。

 

6.「若いから大丈夫」ではなく、自分のリスクで考えましょう

 

 

大腸がんは、今でも中高年に多い病気です。

そのため、すべての若い方に大腸カメラが必要というわけではありません。

一方で、若年発症大腸がんが世界的に増加していることも事実です。

大切なのは、必要以上に怖がることではなく、

  • 自分に症状があるか
  • 家族歴があるか
  • 便潜血検査で異常がないか
  • 過去に大腸ポリープを指摘されていないか

といった、自分自身のリスクを確認することです。

「この年齢で大腸カメラなんて大げさかな?」と迷われる場合には、まず診察でご相談いただければと思います。

 

よくある質問 Q&A

 

 

Q1.30代でも大腸ポリープは見つかりますか?

はい。30代でも大腸ポリープが見つかることはあります。

特に家族歴がある方や、血便・便潜血陽性などをきっかけに大腸カメラを行った方では、ポリープが発見されることがあります。

ただし、年齢が若い方全員に大腸カメラが必要というわけではありません。症状や家族歴などを踏まえて検査の必要性を判断します。

Q2.家族に大腸ポリープがいる場合、何歳から大腸カメラを受けるべきですか?

ご家族がポリープを指摘された年齢や、ポリープの種類・大きさ、近親者に大腸がんの方がいるかなどによって考え方が変わります。

一律に「何歳から」と決められるものではありませんので、家族歴が気になる方は一度消化器内科で相談することをおすすめします。

Q3.若くても血便があれば大腸カメラを受けたほうがいいですか?

血便の原因として痔はよくありますが、大腸ポリープ、大腸炎、大腸がんなどでも血便がみられることがあります。

特に血便を繰り返す場合、便通の変化を伴う場合、家族歴がある場合などには、年齢だけで「大丈夫」と判断せず、一度医療機関を受診してください。

 

まとめ

 

いかがでしたか?

若い世代の大腸ポリープそのものが増加しているかについては、まだ十分に分かっていない部分があります。

一方で、若い方にも大腸ポリープは見つかりますし、世界的には50歳未満で発症する大腸がんの増加が報告されています。

だからこそ大切なのは、「まだ若いから大丈夫」と年齢だけで判断しないことです。

血便、便潜血陽性、便通異常、貧血、ご家族の大腸がん・大腸ポリープなど、気になるサインがある場合には、一度消化器内科へご相談ください。

大腸カメラが本当に必要かどうかも含めて、一人ひとりの状況に合わせて考えていくことが大切です。

ふくい内視鏡・胃腸クリニックでは、福井市で胃カメラ・大腸カメラを中心とした消化器診療を行っています。大腸の症状や大腸カメラについてお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。

「おなかの中からふくいを元気にする。」

これからも皆様のお役に立てるよう、診療に努めてまいります。

参考文献・参考情報

  • Siegel RL, Wagle NS, Star J, et al. Colorectal Cancer Statistics, 2026. CA: A Cancer Journal for Clinicians. 2026.
  • Ugai T, Sasamoto N, Lee HY, et al. Is early-onset cancer an emerging global epidemic? Current evidence and future implications. Nature Reviews Clinical Oncology. 2022.
  • Puzzono M, Mannucci A, Grannò S, et al. The Role of Diet and Lifestyle in Early-Onset Colorectal Cancer: A Systematic Review. Cancers. 2021;13(23):5933.
  • O'Sullivan DE, Sutherland RL, Town S, et al. Risk Factors for Early-Onset Colorectal Cancer: A Systematic Review and Meta-analysis. Clinical Gastroenterology and Hepatology. 2022;20:1229-1240.e5.
  • 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)予防・検診」

この記事を執筆した人

この記事を執筆した人

宇賀治 良平

  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化日本肝臓病学会専門医
  • 器病学会専門医
  • 日本内科学会総合専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 日本消化器がん検診学会消化器がん検診総合認定医
  • 日本ヘリコバクター学会H. pylori感染症認定医

おなかの中からふくいを元気にする。を掲げ毎日の診療にあたっています。
少しでも辛くない検査をより多くの方に届けられるよう、スタッフ一丸となってより良い診療を提供します。