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痛くない血便は痔?「いつもの痔」と決めつけないために〜消化器内科医が解説〜

0.はじめに

おはようございます☀️
ふくい内視鏡・胃腸クリニック 宇賀治良平です。

10月に入り、朝晩はかなり涼しくなってきましたね!全国的にも秋晴れの良い天気で、過ごしやすい季節がきましたね。

気温の変化に、体調を悪くされないようにご注意くださいね。

さて今回は、外来でもよくご相談をいただく「血便」についてです。
血便が出た方から、よくこんな質問をいただきます。

  • 「痛くないので、大丈夫ですよね?」
  • 「昔から痔があるので、今回も痔ですよね?」
  • 「トイレットペーパーに少し血がついただけなので、様子を見てもいいですか?」

確かに、血便の原因として痔はよくみられます。

ただ、「痛みがない」「以前から痔がある」という理由だけで、今回の出血も痔だと判断することはできません。

今回は、血便全般の話というよりも、特に「痛くない血便」と「痔だと思ってよいのか」という点に絞ってお話しします。

 

1.結論:痛くないから大丈夫、とは判断できません

 

 

最初に結論です。

血便に痛みがないからといって、原因が軽い病気とは限りません。

反対に、血便が出たからといって、すぐに大腸がんという意味でもありません。

血便には、痔をはじめ、大腸憩室からの出血、大腸ポリープ、大腸がん、大腸の炎症など、さまざまな原因があります。

そのため大切なのは、

「痛いか、痛くないか」だけで判断するのではなく、出血の出方や回数、便通の変化、年齢、これまでの検査歴などを合わせて考えることです。

 

2.痔があっても「今回の血便も痔」とは限りません

 

 

もともと痔を指摘されたことがある方は、血便が出たときに、

「また痔から出血したのだろう」

と思われることがあります。

もちろん、本当に痔から出血している場合もあります。

しかし、痔があるから、「大腸に別の病気がない」と言い切ることもできません。

以前から痔がある方でも、その後に大腸ポリープや大腸がん、憩室など、別の病気が見つかることがあります。

特に、

  • 以前と出血の量が違う
  • 血便の頻度が増えてきた
  • 便通にも変化が出てきた
  • しばらく大腸の検査を受けていない

といった場合には、「いつもの痔」と決めつけずに、一度相談することをおすすめします。

 

3.痛くない血便では、どんな原因が考えられる?

 

 

「痛みのない血便」と聞くと、痔を思い浮かべる方が多いと思います。

実際には、痛みをあまり伴わずに血便が出る病気はいくつかあります。

痔

痔の種類によっては、強い痛みを伴わずに鮮やかな赤い血が見られることがあります。

トイレットペーパーに血がつく、便の表面に血がつく、といった形で気づくことがあります。

大腸憩室出血

大腸の壁にできた「憩室」というくぼみから出血することがあります。

腹痛をあまり伴わず、突然血便が出ることがあります。

大腸ポリープ・大腸がん

大腸ポリープや大腸がんも、血便の原因になることがあります。

大腸がんは、早い段階では症状がほとんどないこともあり、痛みがないから否定できる病気ではありません。

つまり、血便の原因を「痛みがあるかどうか」だけで見分けることは難しいということです。

 

4.「いつもの痔と違う」と感じたら確認したいこと

 

 

もともと痔がある方では、「今回もいつもと同じ出血なのか」を考えてみることが大切です。

例えば、次のような変化がないか確認してみてください。

  • 以前より出血の量が増えた
  • 出血する回数が増えた
  • 便の表面だけでなく、便の中にも血が混じっているように見える
  • 便秘や下痢など、便通が以前と変わった
  • 便が細くなった状態が続く
  • 健康診断で貧血を指摘された
  • 意図しない体重減少がある

もちろん、これらがあるから大腸がんという意味ではありません。

反対に、これらがなければ絶対に問題がないというわけでもありません。

大切なのは、「いつもと同じか」「何か変わってきていないか」を確認することです。

 

5.早めに受診した方がよい血便のサイン

 

 

血便の中には、早めの評価が必要な場合があります。

例えば、

  • 出血量が多い
  • 何度も血便を繰り返している
  • めまい、ふらつき、動悸、息切れなどがある
  • 黒っぽい便が出ている
  • 強い腹痛や発熱を伴っている
  • 血便とともに体調が悪くなっている

といった場合には、早めに医療機関へ相談してください。

特に大量の出血が続いている、立っていられないほどのふらつきがある、意識が遠のくような感じがある場合には、通常の外来受診を待たず、救急医療を検討する必要があります。

一方で、少量の出血が一度だけで、その後まったく症状がない場合もあります。

その場合でも、再び血便が出る、原因が分からない、これまで大腸の検査を受けたことがない、といった場合には一度消化器内科へ相談するとよいでしょう。

 

6.受診すると、どんなことを確認するの?

 

 

血便で受診したからといって、全員がすぐに大腸カメラを受けるわけではありません。

まずは、

  • いつから出血しているか
  • 何回くらい出ているか
  • どのくらいの量か
  • 血の色や便との混じり方
  • 腹痛や下痢、発熱などの症状がないか
  • 便通に変化がないか
  • 過去に大腸カメラを受けたことがあるか
  • 大腸ポリープや大腸がんの既往・家族歴がないか

などを確認します。

必要に応じて診察や血液検査を行い、症状や年齢、これまでの検査結果などを踏まえて、大腸カメラを含めた検査を検討します。

受診する際に、血便がどのような状態だったかを覚えておくと診断の参考になります。

また、スマートフォンで撮影した出血の際の画像も、診療の時にも役に立ちますので、どうぞお持ち込みください。

 

7.血便があれば、全員に大腸カメラが必要?

 

 

「血便で病院に行ったら、必ず大腸カメラを受けなければいけないのでは?」と心配される方もいらっしゃると思います。

血便がある方全員に、同じタイミングで大腸カメラが必要というわけではありません。

大腸カメラを検討するかどうかは、

  • 出血の量や回数
  • 年齢
  • 便通異常などの症状
  • 貧血の有無
  • これまでの大腸カメラの結果
  • 大腸ポリープの既往
  • 大腸がんなどの家族歴

などを合わせて判断します。

一方で、血便などの症状がある場合には、単なる「大腸がん検診」として考えるのではなく、症状の原因を調べるための診療として評価することが大切です。

検査が必要かどうか分からないから受診しない、というよりも、まず相談し、そのうえで必要な検査を考えていくのがよいと思います。

大腸カメラについて詳しく知りたい方は、当院の大腸カメラ検査のページもご覧ください。

 

よくある質問 Q&A

 

 

Q.痛くない鮮血なら、痔だと思ってよいですか?

痔が原因のこともありますが、血の色と痛みの有無だけで原因を決めることはできません。繰り返す場合や、以前とは出血の仕方が違う場合には、医療機関へ相談してください。

Q.昔から痔があります。それでも大腸の検査を考えた方がよいですか?

痔があることだけで、今回の出血も痔からと判断することはできません。年齢、症状、過去の大腸カメラの結果などによって判断は異なりますので、血便を繰り返す場合などには一度相談してください。

Q.一度だけ血がついて、その後は出ていません。大丈夫ですか?

一時的な出血で、その後に問題がないこともあります。しかし、出血の原因は「1回だけだった」という症状だけで特定することはできません。再び出血する、便通が変わる、貧血を指摘されるなどの場合には受診を検討してください。
一度も検査を受けたことがない方は、血便の原因検索として大腸カメラをお勧めすることもあります。

Q.血便がありますが、便潜血検査を受ければよいですか?

目で見て分かる血便がある場合は、症状のない方を対象とした大腸がん検診とは考え方が異なります。
便潜血検査だけで済ませるのではなく、まず医療機関で症状について相談してください。

 

まとめ

 

 

今回は、「痛くない血便は痔なのか?」という疑問についてお話ししました。

  • 痛みがないという理由だけで、血便の原因を判断することはできません。
  • 痔がある方でも、今回の血便が必ず痔からの出血とは限りません。
  • 痔、大腸憩室出血、大腸ポリープ、大腸がんなど、痛みをあまり伴わず血便が出る病気があります。
  • 出血のことを、「いつもの痔」と決めつけないことも大切です。
  •  
  • また、大量出血、ふらつき、動悸などを伴う場合には早めの受診が必要です。
  •  
  • 血便がある方全員に大腸カメラが必要というわけではなく、症状やこれまでの検査結果などから判断します。
    血便を見ると、「大腸がんだったらどうしよう」と不安になる方もいれば、「痔だから大丈夫」と考える方もいます。

どちらか一方に決めつける必要はありません。

大切なのは、必要以上に怖がることでも、自己判断で放置することでもなく、原因を確認することです。

血便について迷うことがあれば、消化器内科へご相談ください。

おなかの中からふくいを元気にする。

ふくい内視鏡・胃腸クリニックでした。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

 

参考文献・参考情報

  • 日本消化管学会 大腸憩室症(憩室出血・憩室炎)ガイドライン2026 改訂第2版
  • 日本大腸肛門病学会 肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドライン2020年版 改訂第2版
  • 国立がん研究センター 大腸がんファクトシート 2024年

この記事を執筆した人

この記事を執筆した人

宇賀治 良平

  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化日本肝臓病学会専門医
  • 器病学会専門医
  • 日本内科学会総合専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 日本消化器がん検診学会消化器がん検診総合認定医
  • 日本ヘリコバクター学会H. pylori感染症認定医

おなかの中からふくいを元気にする。を掲げ毎日の診療にあたっています。
少しでも辛くない検査をより多くの方に届けられるよう、スタッフ一丸となってより良い診療を提供します。