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大腸ポリープの病理結果、何が分かる?〜「腺腫」「良性」「がん」の違いを消化器内科医が解説〜【表示修正版】

0.はじめに

検査結果の書類を確認する男性

こんにちは。ふくい内視鏡・胃腸クリニック 宇賀治良平です。

11月になりました!秋も深まり、今年の健康診断や検査の結果を振り返る機会もあるかもしれません。

さて、本日は大腸ポリープを取った後の話です。

大腸カメラでポリープを切除した後、「取ったポリープは良性だったの?」「腺腫と言われたけれど、がんとは違うの?」「もう取ったのだから、次の検査は必要ない?」と疑問に思う方もいらっしゃると思います。

実は、ポリープを切除することと、そのポリープの性質を詳しく調べることは別の段階です。

今回は、大腸ポリープ切除後の病理結果の意味と、結果を聞く際に知っておきたいポイントを、できるだけ分かりやすく解説します。

1.ポリープを取った後、なぜ病理検査をするの?

組織を詳しく調べるための顕微鏡

大腸カメラでは、ポリープの大きさ、色、形、表面の模様などを観察します。こうした内視鏡の所見から病変の性質をある程度推測できますが、見た目だけですべてを確定できるわけではありません。

切除した組織を病理検査に提出した場合、顕微鏡で細胞や組織の形を詳しく調べます。
そこで、腺腫などの良性の腫瘍なのか、がんの成分があるのかなどを確認します。

必要に応じて病変がどの深さまで及んでいるか、切除した組織の端をどのように評価できるかなども調べます。

ただし、すべての小さなポリープが同じ方法で病理検査に提出されるわけではありません。
どのような検査を行い、何が分かったかは、担当医の説明を確認しましょう。

2.病理結果の「腺腫」は、がんという意味?

大腸粘膜とポリープの模式図

腺腫(せんしゅ)は、基本的には良性の腫瘍です。

「腫瘍」という言葉を見ると不安になるかもしれませんが、「腺腫=大腸がん」という意味ではありません。

一方で、腺腫の中には長い時間をかけてがんに進むものがあります。
そのため、切除の必要性があると判断された腺腫を取り除くことは、将来の大腸がん予防につながると考えられています。

病理結果には、細胞の変化の程度を示す「異型度」という言葉が出てくることもあります。
言葉の印象だけで判断せず、実際に何を意味するのか医師に説明してもらうとよいでしょう。

大腸ポリープの種類や検査については、当院の大腸ポリープの解説ページもご覧ください。

3.腺腫以外にも、ポリープには種類があります

大腸ポリープを示した模式図

大腸ポリープには、腺腫以外にもさまざまな種類があります。代表的なものを挙げると、次のようになります。

  • 過形成性ポリープ:多くはがんになる危険性が低いと考えられています。ただし、場所や大きさ、診断内容によって評価は異なります。
  • 鋸歯状病変(きょしじょうびょうへん):特徴的な組織構造を持つ病変のグループです。このうちSSLなどは、大腸がんの発生に関係する可能性があり、適切な評価や切除が検討されます。
  • 炎症性ポリープなど:炎症によって生じるものもあり、病気の背景や症状と合わせて考えます。

大切なのは、「ポリープ」と呼ばれるものが、すべて同じ性質ではないということです。

病理結果に難しい名前が書かれていても、それだけで重い病気と決まるわけではありません。自分のポリープがどの種類だったのかを理解することが大切です。

4.病理結果で「がん」が見つかったら、どうなるの?

画像を使って検査結果を説明する医師

切除したポリープを詳しく調べた結果、がんの成分が見つかることもあります。

しかし、「がん」という言葉が出たからといって、必ず追加の手術が必要になるわけではありません。

治療方針を考えるうえでは、がんが大腸の壁のどの深さまで及んでいるか、切除した組織の端に病変が残っていないと判断できるか、血管やリンパ管への入り込みがないかなどの情報が重要です。

病理結果だけでなく、内視鏡での所見や患者さんの状態も合わせて判断します。

内視鏡治療だけで十分と判断される場合もあれば、追加の検査や外科的治療を相談する場合もあります。

自己判断せず、結果説明の機会に「今後の治療が必要か」を確認してください。

5.「取り切れたかどうか」は、どう確認するの?

ポリープ切除を示した模式図

ポリープ切除後には、病変が残っていないかどうかも大切です。

内視鏡で切除部位を確認することに加え、病理検査では切除した組織の端(「断端」といいます)を評価できる場合があります。

ただし、病変をいくつかに分けて切除した場合や、組織の状態によっては、病理検査だけで完全に取り切れたかを判定するのが難しいこともあります。

また、断端の評価が難しいからといって、直ちに病変が残っていると決まるわけでもありません。

その場合には、切除時の内視鏡所見なども考慮して、比較的早い時期に切除部位を確認することがあります。

次の検査時期が通常より早いからといって、必ず悪い結果だったという意味ではありません。

6.次の大腸カメラは、病理結果だけで決まるの?

検査の時期や間隔を考えるための時計

次回の大腸カメラの時期は、病理結果だけでは決まりません。

切除したポリープの個数、大きさ、種類、切除方法に加えて、検査時に大腸を十分観察できたか、過去の病歴や家族歴なども考慮します。

日本消化器内視鏡学会のガイドラインでは、一定の条件の下で、進行した特徴のない腺腫を1~2個切除した場合、3~5年後の大腸カメラが提案されています。

一方、ポリープの数が多い場合や、進行した特徴がある場合などには、より短い間隔での確認が考えられます。

この「3~5年」という数字は、すべての方に当てはまる決まりではありません。また、以前の検査が十分に行えたことや、対象の病変が適切に切除されていることなどが前提です。

「毎年受けた方が安心」とも、「取ったからもう不要」とも一律には言えません。

当院の大腸カメラのご案内もご覧いただき、検査結果に合った時期を相談してください。

7.結果説明で確認しておきたい5つのこと

医師と検査結果の書類を確認する様子

病理結果の説明を受けるときは、難しい専門用語をすべて覚える必要はありません。

次の5点を確認できれば、その後の健康管理に役立ちます。

  • ① 切除したポリープはどのような種類だったか
  • ② ポリープは何個で、どのくらいの大きさだったか
  • ③ 切除した場所に追加の確認が必要か
  • ④ 今後、追加の検査や治療が必要か
  • ⑤ 次の大腸カメラはいつ頃を目安にすればよいか

結果の説明用紙や検査日が分かる書類があれば、保管しておくとよいでしょう。

転居などで別の医療機関を受診するときにも、これまでの検査内容を伝えやすくなります。

8.次回検査の予定を待たずに相談した方がよいとき

大腸の不調について電話で相談するイメージ

次の検査まで数年の間隔がある場合でも、血便が続く、便通の状態が明らかに変わった、原因の分からない貧血を指摘された、といった場合には、予定日まで待たずに消化器内科へご相談ください。

症状がある場合の診療と、症状がない方の定期検査は目的が異なります。

また、ポリープ切除後に多量の出血、強い腹痛、ふらつきなどが起きた場合には、早急な医療機関への連絡や救急受診が必要になることがあります。

「今、相談するべき症状なのだろうか」と迷うときも、自己判断だけで長く様子を見ずに相談してください。

血便についての当院の解説も参考になります。

よくある質問 Q&A

よくある質問 Q&A

Q.「腺腫」と言われたら、がんだったという意味ですか?

いいえ。腺腫は基本的に良性の腫瘍です。ただし、一部は将来がんになる可能性があるため、切除や適切な経過観察が行われます。

Q.「良性」なら、もう大腸カメラを受けなくてよいですか?

良性という結果だけでは決められません。ポリープの数や大きさ、種類、これまでの検査結果などをもとに、次回の検査時期を相談します。

Q.病理結果はいつ分かりますか?

結果が出るまでの期間は、施設や検査内容によって異なります。検査後に案内された結果説明の日や連絡方法を確認してください。

Q.病理結果に「がん」と書かれていたら必ず手術ですか?

必ずしもそうではありません。がんの深さや病理所見、切除の状態などを確認して、追加治療が必要かどうかを判断します。

まとめ

いかがでしたか?

では、本日のまとめです。

  • ポリープ切除後の病理検査では、病変の種類や性質を詳しく調べます。
  • 「腺腫」は基本的には良性ですが、一部に将来がんへ進む可能性があります。
  • 過形成性ポリープや鋸歯状病変など、ポリープの種類によって意味が異なります。
  • がんの成分が見つかった場合も、必要な治療は病理所見などに基づいて判断します。
  • 次回の大腸カメラの時期は、病理結果だけでなく、個数・大きさ・切除方法などを合わせて決めます。

大腸ポリープを切除した方は、結果を聞くときに「どんなポリープだったのか」と「次に何をすればよいか」を確認しておきましょう。

心配なことがあれば、どうぞご相談をなさってください。
検査を受けることだけで終わらず、その結果をこれからの健康に生かすことが大切です。

「おなかの中からふくいを元気にする。」

ふくい内視鏡・胃腸クリニックでした。

参考文献・参考情報

この記事を執筆した人

この記事を執筆した人

宇賀治 良平

  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化日本肝臓病学会専門医
  • 器病学会専門医
  • 日本内科学会総合専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 日本消化器がん検診学会消化器がん検診総合認定医
  • 日本ヘリコバクター学会H. pylori感染症認定医

おなかの中からふくいを元気にする。を掲げ毎日の診療にあたっています。
少しでも辛くない検査をより多くの方に届けられるよう、スタッフ一丸となってより良い診療を提供します。