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大腸ポリープ切除後にやってはいけないことは?〜飲酒・運動・入浴・旅行はいつまで?〜 消化器内科専門医が解説

0.はじめに

 

 

おはようございます。ふくい内視鏡・胃腸クリニックの宇賀治良平です。

9月に入りましたが、まだまだ暑い日が続いていますね。朝晩との気温差も出てくる時期ですので、皆さま体調には十分お気をつけください。

また、先日の豪雨で被害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。一日も早く、いつもの穏やかな生活が戻ることを願っております。

 

さて、今回は、大腸カメラでポリープを切除した後についてのお話です。

検査が終わってホッとしたあとに、

  • 「今日、お酒を飲んでもいいですか?」
  • 「明日から仕事をしても大丈夫?」
  • 「ジムやランニングはいつから?」
  • 「お風呂やサウナは?」
  • 「週末に旅行の予定があるんですが……」

と疑問に思う方も多いと思います。

以前の記事では「大腸カメラ後の食事と生活」について幅広くお話ししました。

今回はもう一歩絞って、「大腸ポリープを切除した後に、何を避けた方がよいのか」について整理します。

大切なのは、必要以上に安静にすることではありません。

切除した部分が落ち着くまで、出血などのトラブルにつながる可能性がある行動を避けることです。

切除したポリープの大きさや数、切除方法、内服薬などによって注意する期間は変わりますので、最終的には検査後にお伝えした指示を優先してください。

 

1.ポリープ切除後の大腸では何が起きている?

 

 

大腸ポリープを内視鏡で切除すると、その部分には小さな傷ができます。

検査が終わった時点で出血していなくても、切除した場所が完全に元の状態に戻ったわけではありません。

そのため、ポリープ切除後には、しばらくしてから出血することがあります。

これを「遅発性出血」といいます。

多くの方は大きな問題なく経過しますが、切除した病変の大きさや場所、切除方法、血液をサラサラにする薬の使用などによって、出血のリスクは変わります。

ですから、検査直後に元気だからといって、すぐにすべて普段通りに戻すのではなく、一定期間は無理をしないことが大切です。

2.「何日間気をつける?」は全員同じではありません

 

 

患者さんから最もよく聞かれるのが、

「結局、何日間気をつければいいですか?」

という質問です。

当院では、飲酒・長風呂・激しい運動・長距離の移動などについて、一般的には1週間程度注意していただくことを目安としています。

長くて10-14日とも説明をすることもあり、「全員が同じ」ということはありません。

注意する期間は、

  • ・ポリープの大きさ
  • ・切除した数
  • ・ポリープの形や場所
  • ・どのような方法で切除したか
  • ・処置後の状態
  • ・血液をサラサラにする薬などの内服

などによって変わります。

インターネットに書いてある日数よりも、自分の検査後に受けた説明を優先してください。

 

3.飲酒は控えましょう

 

 

ポリープ切除後にまず控えていただきたいもののひとつが、お酒です。

「ビール1杯だけなら大丈夫ですか?」

と聞かれることもありますが、切除後は「少しだけなら」と自己判断せず、当院からお伝えした期間は控えることをおすすめします。

特に検査当日は、下剤による脱水や鎮静剤の影響が残っていることもあります。

お酒を飲む予定のある会食や宴会が近い場合には、大腸カメラを予約する段階で予定を確認しておくと安心です。

「検査を頑張ったから、今日は乾杯だ!」は、ポリープを切除した日だけは少し待ってくださいね!

 

4.激しい運動・力仕事は避けましょう

 

 

ポリープ切除後だからといって、ずっと寝て過ごす必要があるわけではありません。

日常生活の中で歩く、家の中で過ごすといった程度であれば、体調をみながら行えることが多いです。

一方で、しばらく控えたいのは、

  • ランニング
  • ジムでの筋力トレーニング
  • 重い荷物を運ぶ
  • 激しいスポーツ
  • 強くお腹に力を入れる作業

などです。

仕事についても、「仕事=休まなければならない」ということではありません。

デスクワークと、重量物を運ぶ仕事や体を激しく使う仕事では負担が違います。

仕事の内容によっては、検査日を決めるときに翌日の予定まで考えておくと安心です。

 

5.長風呂・サウナは控えましょう

 

 

「お風呂は入ってはいけませんか?」という質問もよくあります。

ポリープ切除後は、検査当日は長風呂を避け、シャワー程度にしていただくのが無難です。

また、

  • サウナ
  • 岩盤浴
  • 長時間の入浴

なども、検査後にお伝えする期間は控えてください。

「お風呂に入ること自体が危険」という意味ではありません。

切除直後は無理をせず、体を休めながら過ごすと考えていただくとよいでしょう。

 

6.旅行・長距離移動は予定に注意

 

 

意外と見落としやすいのが、旅行や出張です。

ポリープ切除後には、数日たってから出血することもあります。

そのため、切除直後に遠方へ移動すると、万が一何かあった場合に、検査を受けた医療機関へすぐ相談することが難しくなります。

当院では、ポリープ切除後の長距離移動についても、一般的には1週間程度見合わせることを目安としています。

ただし、旅行の内容や移動距離、切除したポリープによって判断は変わります。

出張、飛行機での旅行、遠方への帰省などの予定が決まっている方は、できれば検査前にお伝えください。

 

7.食事は「何も食べてはいけない」わけではありません

 

 

ポリープを切除したからといって、何日も絶食するわけではありません。

当院では、切除当日はなるべく固形物を控え、水分や具のないスープなどから始め、翌日からはおかゆ、やわらかいうどん、豆腐など消化のよい食事を少しずつ再開するようご案内しています。

その後は体調をみながら普段の食事へ戻していきます。

一方で一定期間、

  • 刺激の強い料理
  • 大量の食事
  • アルコール
  • 消化に負担がかかりやすい食事

などは控えてください。

切除方法によって食事についての考え方も異なるため、厳格な食事制限を自己流で行う必要はありません。

詳しい食事については、以前の記事「大腸カメラ後の食事と生活」でも説明していますので、あわせてご覧ください。

 

8.薬を自己判断で中止・再開しない/出血時の対応

 

 

生活上の注意と同じくらい大切なのが、内服薬です。

特に、血液をサラサラにする薬を服用している方は、

「出血が怖いから、もう少し薬を止めておこう」

あるいは、

「いつもの薬だから、今日から元通り飲もう」

と自己判断しないでください。

薬を中止することにもリスクがあります。(薬の逆さま言葉は、「リスク」です!)

検査後に説明された再開時期を守り、分からなくなった場合には医療機関へ確認してください。

また、ポリープ切除後に次のような症状がある場合には、早めに医療機関へご相談ください。

  • 血便が何度も続く
  • 便器が赤くなるほど出血する
  • 出血量が増えている
  • 強い腹痛が続く
  • 発熱がある
  • 冷や汗や強いふらつきがある
  • 動悸や息苦しさがある
  • 気分が悪く、立っていられない

少量の血液が一度付着する程度で経過を見る場合もありますが、出血が続く、量が多い、強い腹痛やふらつきを伴う場合には自己判断で待たないことが大切です。

 

よくある質問 Q&A

 

 

 

Q1.ポリープ切除翌日から仕事に行ってもいいですか?

仕事の内容によって異なります。デスクワークなど体への負担が少ない仕事は比較的早く戻れることがありますが、重い物を持つ仕事や激しく体を動かす仕事では注意が必要です。検査後の指示を確認してください。

Q2.ポリープ切除後、少し血が出ました。大丈夫ですか?

少量の血液が一度だけ付着する程度であれば経過を見ることもあります。ただし、出血を繰り返す、量が増える、便器が赤くなる、腹痛やふらつきを伴う場合には医療機関へご相談ください。

Q3.1週間たてば必ず何をしても大丈夫ですか?

一律ではありません。当院では1週間程度をひとつの目安としていますが、ポリープの大きさ、数、切除方法、内服薬などによって注意する期間が変わります。ご自身が検査後に受けた説明を優先してください。

Q4.切除後にコーヒーを飲んでもいいですか?

食事や飲み物についての制限は、切除方法や当日の状態によって異なります。水分は大切ですが、検査直後はまず水や白湯などから始め、刺激の強いものを一度にたくさんとることは避けるとよいでしょう。

Q5.予定していた旅行とポリープ切除が重なってしまいました。

切除したポリープや旅行の日程・距離によって判断が変わります。遠方への旅行や出張の予定がある場合には、できるだけ検査前に医師へお伝えくださいね。

 

まとめ

 

 

いかがでしたか?

今回は、大腸ポリープ切除後に気をつけたいことについて整理しました。

繰り返しますが、大切なことは

  • ポリープ切除後は、大腸の粘膜に小さな傷がある状態
  • 検査後しばらくして出血する「遅発性出血」が起こることがある
  • 飲酒・激しい運動・長風呂・サウナ・長距離移動などは一定期間控える
  • 当院では一般的に1週間程度をひとつの目安としている
  • 仕事の再開は内容によって判断が異なる
  • 何日も絶食する必要はなく、指示に従って食事を戻していく
  • 薬の中止・再開を自己判断しない
  • 出血が続く、強い腹痛やふらつきがある場合は医療機関へ相談する

ポリープを切除すると、「しばらく何もしてはいけないのかな」と心配になる方もいらっしゃいます。

しかし、必要以上に怖がる必要はありません。

大切なのは、「何をしてはいけないか」だけでなく、「なぜ今は少し控えるのか」を理解することです。

切除した場所が落ち着くまで少し生活を調整し、その後は普段の生活に戻っていきましょう。

検査後の説明を忘れてしまった、旅行や仕事の予定があって迷っている、出血があって心配という場合には、自己判断せずご相談ください。

おなかの中からふくいを元気にする。ふくい内視鏡・胃腸クリニックでした。

 

参考文献・参考情報

  • 日本消化器内視鏡学会「大腸内視鏡検査と治療」 https://www.jges.net/citizen/check-cure/no3-2
  • 日本消化器内視鏡学会「大腸cold polypectomyガイドライン(大腸ESD/EMRガイドライン追補)」
  • 日本消化器内視鏡学会「大腸ESD/EMRガイドライン(第2版)」
  • European Society of Gastrointestinal Endoscopy. Colorectal polypectomy and endoscopic mucosal resection guideline. 2024.
  • Mochida K, et al. Dietary restriction after cold snare polypectomy of colorectal polyp for prevention of delayed bleeding. JGH Open. 2023.

この記事を執筆した人

この記事を執筆した人

宇賀治 良平

  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化日本肝臓病学会専門医
  • 器病学会専門医
  • 日本内科学会総合専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 日本消化器がん検診学会消化器がん検診総合認定医
  • 日本ヘリコバクター学会H. pylori感染症認定医

おなかの中からふくいを元気にする。を掲げ毎日の診療にあたっています。
少しでも辛くない検査をより多くの方に届けられるよう、スタッフ一丸となってより良い診療を提供します。