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前回の大腸カメラが「異常なし」だったら次はいつ?毎年受ける必要はある?

0.はじめに

こんばんは。ふくい内視鏡・胃腸クリニック 宇賀治良平です。

9月も後半に入り、少しずつ秋らしさを感じるようになってきましたね!

今回は、以前に大腸カメラを受けて「異常ありませんでした」と言われた方に向けたお話です。

外来でも、

  • 「前回は何も病気は言われなかったけど、次の検査はいつ受ければいいですか?」
  • 「大腸カメラって毎年受けた方がいいですか?」
  • 「異常なしだったらしばらく受けなくても良いですか?」
  • 「大腸カメラを受けた後も便潜血検査は必要ですか?」

といったご質問をいただくことがあります。

実は、大腸カメラは「毎年受ければ受けるほど安心」という検査ではありません。

前回どのような検査だったのか、何か病変が見つかったのか、その後の便潜血検査や症状はどうなのかによって、次に検査を考える時期は変わります。

今回は、「前回の大腸カメラが異常なしだった方」に絞り、次の検査をいつに受ければよいのか、整理してみましょう。

 

1.結論:「異常なし」なら毎年大腸カメラとは限りません

 

 

まず結論からお伝えします。

前回の大腸カメラで大腸全体をくまなく観察ができており、ポリープなど異常が認められなかった場合、一般的には毎年大腸カメラを受ける必要性は高くありません。

日本消化器内視鏡学会では、異常のない方について、40歳以上であれば年1回の便潜血検査による大腸がん検診を続けることが勧められています。

もしくは、大腸カメラを使って定期的に大腸を確認していく場合には、「5年後」がひとつの目安として示されています。

しかし、これはすべての方に「次は必ず5年後」と決めるものではありません。

確認しておきたいのは、本当に「十分に観察できたうえで異常なし」だったのか、という点です。

 

2.「異常なし」と言えるためには検査の質も大切です

 

 

同じ「異常なし」という結果でも、検査の状況によって次回の検査予定の組み方が変わることがあります。

例えば、大腸カメラの前の下剤が十分でなかった場合、便が多く残っていることがあります。
その結果、粘膜の一部が見えにくくなっている場合があります。

また、大腸の奥までカメラが到達しなかった、十分に観察できなかった場合なども、
一般的な「異常なし」と同じように捉えるべきではありません。

大切なのは、

  • 大腸の奥まで観察できたか
  • 腸の中が十分きれいだったか
  • 観察条件に問題がなかったか
  • ポリープなどの病変が本当に見つからなかったか

といった点です。

前処置が不十分だった場合などには、予定より短い期間で再検査を提案されることがあります。

 

3.40歳以上なら便潜血検査は毎年続けましょう

 

 

ここは特に勘違いされやすいところです。

「一度大腸カメラで異常がなかったから、もう便潜血検査は受けなくていいですよね?」

と思われる方もいらっしゃいます。

しかし、日本では40歳以上の男女に対して、年1回の便潜血検査による大腸がん検診が推奨されています。

大腸カメラで異常がなかった場合でも、基本的にその後も定期的な便潜血検査を続けることが大切です。

大腸カメラと便潜血検査は、どちらか一方だけを一生受ければよいという関係ではありません。

「大腸カメラで一度確認したから終わり」ではなく、その後も年齢に応じた検診を続けていくと考えていただくとよいと思います。

 

4.次の大腸カメラは「5年後」が目安になることも

 

 

では、前回の大腸カメラでまったく異常がなかった場合、次の大腸カメラはいつが望ましいのでしょうか。

日本消化器内視鏡学会のガイドラインでは、大腸カメラをスクリーニングにおいて病変が見つからなかった場合には、
次回の大腸カメラを5年後を目処に行うという考え方が提案されています。

ですから、

「去年異常なしだったから、今年も念のため大腸カメラを受けておこう」

と、全員が毎年検査を受ける必要があるわけではありません。

ただし、「5年間は絶対に何も起こらない」という意味でもありません。

5年という数字だけを覚えるのではなく、途中の便潜血検査、症状、家族歴なども合わせて考えることが大切です。

検査間隔は前回の検査内容や年齢などによっても変わるため、検査を担当した医師から次回時期について説明があった場合には、その指示を優先してください。

 

5.予定より早く相談した方がよいケース

 

 

前回異常がなかったとしても、「次回予定の日まで何があっても待つ」というわけではありません。

検査を受けてからも、

  • 目で見て分かる血便が出た
  • 便秘や下痢など、便通の変化が続いている
  • 便が以前より細くなった状態が続く
  • 原因のはっきりしない貧血を指摘された
  • 腹痛が続いている
  • 意図せず体重が減ってきた

といった変化があれば、予定していた検査時期を待たずに医療機関へご相談ください。

こうした症状があるから大腸がんが潜んでいる、という意味ではありません。

しかし、症状が出ている場合には「定期検診」ではなく、「その症状の原因を確認する」という考え方に変わります。

 

6.前回異常なしでも、便潜血陽性になったら?

 

 

「去年、大腸カメラで異常なしだったのに、今年の便潜血検査が陽性でした」

ということもあります。

この場合、

「去年異常なしだから、今回の陽性は無視しよう」

と自己判断するのはおすすめできません。

一般的に便潜血検査で要精密検査となった場合には、精密検査について医療機関へ相談することが大切です。

診察の上で、直近に質の高い大腸カメラを受けて異常がなかった方などでは、前回の検査時期や内容を踏まえて個別に判断する場合があります。

以前の大腸カメラの結果が分かるものがあれば、受診時に持参すると判断の助けになります。

 

7.ポリープを切除した方は「異常なし」とは別に考えます

 

 

本日のお話は、基本的に「前回の大腸カメラで病変が見つからなかった方」が対象です。

一方、以前に大腸ポリープを切除した方では、考え方が変わります。

次回の検査時期は、

  • ポリープの数
  • ポリープの大きさ
  • 病理検査の結果
  • 切除した方法
  • 前回の検査の観察状況

などによって判断します。

日本消化器内視鏡学会では、多くの場合は3年後、小さな低異型度腺腫を1〜2個切除した場合には5年後でもよいとする考え方が示されています。一方、病変によってはより早い検査が必要になることもあります。

そのため、ポリープを切除した経験がある方は、「大腸カメラは○年ごと」と一律に考えず、前回の結果に合わせて次回時期を確認しましょう。

 

8.検査結果を残して「次はいつ?」を確認しましょう

 

 

大腸カメラを受けた直後は結果を覚えていても、数年たつと、

「前回は何年前だったかな?」

「ポリープはあったかな?」

「次は何年後と言われたかな?」

と分からなくなることがあります。

そこでおすすめしたいのが、検査結果を残しておくことです。

特に、

  • 検査を受けた日
  • ポリープの有無
  • 切除したかどうか
  • 病理結果
  • 次回の検査時期

が分かる資料は、今後の検査時期を判断する大切な情報になります。

「毎年受ける」ではなく、「自分は次にいつ確認すればよいのかを知っておく」こと。

これが大腸カメラとの上手な付き合い方のひとつだと思います。

 

よくある質問 Q&A

 

 

Q1.去年の大腸カメラは異常ありません。今年も受けた方がいいですか?

大腸全体を十分観察できた上で異常がなかった場合、一般的に毎年大腸カメラが必要というわけではありません。
40歳以上の方は年1回の便潜血検査を継続しながら、次回の大腸カメラについては前回の検査内容に応じて考えます。

Q2.異常なしなら5年間は絶対に大丈夫ですか?

「絶対に」と言い切らないことが大切です。「5年後」はひとつの目安であり、その間に病気が絶対に起こらないという意味ではありません。血便や便通変化などの症状があれば、予定を待たずにご相談ください。

Q3.大腸カメラが異常なしなら、便潜血検査はもう必要ありませんか?

40歳以上の方には、大腸検査の後も年1回の便潜血検査による大腸がん検診を継続することが勧められています。

Q4.前回異常なしでしたが、今回便潜血陽性でした。どうすればよいですか?

前回の検査時期や検査内容によって判断が異なるため、自己判断で放置せず医療機関へご相談ください。
前回の大腸カメラの結果があれば、持参すると参考になります。

Q5.ポリープを1個取っています。今回の記事と同じ5年でよいですか?

ポリープを切除した方は別の考えを持って対応します。
ポリープの数・大きさ・病理結果などによって次回の検査時期が変わるため、検査後に案内された時期を確認してください。

 

まとめ

 

 

いかがでしたか?

今回は、大腸カメラで「異常なし」と言われた後の検査間隔についてお話ししました。

  • 異常なしで十分観察できた場合、一般的に毎年大腸カメラが必要とは限らない
  • 「異常なし」でも、前処置や観察条件が不十分だった場合は考え方が変わる
  • 40歳以上では年1回の便潜血検査を続けることが大切。
  • 異常なしの場合では、次の大腸カメラは5年後が目安になることがある
  • :5年間絶対に何も起こらないという意味ではない
  • 血便や便通変化などがあれば予定を待たず相談する
  • ポリープ切除歴がある方は、別の検査間隔で考える

大腸カメラで「異常なし」と言われると、ホッとしますよね。

一方で、「もう一生大丈夫」という意味ではありませんし、反対に「念のため毎年大腸カメラを受けなければならない」というわけでもありません。

前回の検査結果を知り、毎年の検診を続け、必要なタイミングで次の大腸カメラを考える。

必要以上に心配せず、自分に合った間隔で大腸の健康を確認していきましょう。

おなかの中からふくいを元気にする。

ふくい内視鏡・胃腸クリニックでした。

 

参考文献・参考情報

  • 日本消化器内視鏡学会「大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン」2020年
  • 日本消化器病学会「大腸ポリープ診療ガイドライン2020(改訂第2版)」
  • 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん検診について」

この記事を執筆した人

この記事を執筆した人

宇賀治 良平

  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化日本肝臓病学会専門医
  • 器病学会専門医
  • 日本内科学会総合専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 日本消化器がん検診学会消化器がん検診総合認定医
  • 日本ヘリコバクター学会H. pylori感染症認定医

おなかの中からふくいを元気にする。を掲げ毎日の診療にあたっています。
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